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第497話
肌を刺すような冷たい空気に、二人とも身を寄せる。
かけ湯をしてから、飛び込むように湯船に浸かった。
「外さっっむ!!!」
「……ぷっ!あはは!」
「何…。」
「ふふっ…!だ、だって…、城崎さっきまで勃ってたのに、寒さで縮んだ…。ふふっ!」
浴衣を脱いだ時は部屋の中で暖房も効いていて、おまけに俺と触れ合ったあとだから、少しもたげていたはずの城崎のペニス。
寒すぎていつものサイズに萎 れていて、吹き出すように笑ってしまった。
「あー…、もう。想定外なんですけど。」
「ふ、ふふっ…!何が…?」
「笑わないでくださいよ…。本当はもうちょっといい雰囲気で、先輩のこと抱くつもりだったのに。来る季節間違えた。」
「すげー寒いもんな?ぷっ…!」
「寒すぎです。あと、先輩笑いすぎ。」
「だって…。ふふっ…。」
本当は格好つけて風呂で俺を抱く予定だったんだろう。
というか、俺も抱かれるつもりでいたし。
二人とも冬の夜を舐めていたから、痛い目を見た。
城崎は自分のことをダサいと思ってるのかもしれないけど、俺は今恥ずかしそうにしてる城崎が可愛くて仕方ない。
「まぁ、たまにはこうやって、ゆっくり風呂浸かんのもいいんじゃない?」
「うん…。でも部屋戻ったらそんな余裕無くなるくらい、俺でいっぱいにするから覚悟しててくださいね?」
「わかったわかった。」
「先輩、俺の上座って?」
「いいよ。」
城崎に向かい合うように跨って、どちらからともなく唇を重ねる。
俺たちが動くたびに揺れる水面が音を立て、興奮を掻き立てる。
「んっ…は…、んぅ…♡」
城崎の舌がさっきの失敗を挽回するように、俺の気持ちいいところばかりを的確に刺激する。
漏れた声くらい隣に聞こえていないと信じたいが、なんせ冬の夜は静かだ。
もしかしたら、こんな小さな喘ぎ声も聴かれているかもしれない。
「先輩、シーッ…」
「んぅ…」
唇が離れ、城崎はイタズラな笑顔で笑いながら、口元に人差し指を当てる。
わざと俺に声出させてるくせに、どの口が言うんだ。
「早くお風呂上がって、先輩のこと抱きたい。」
「もうちょっとだけゆっくりしようよ。」
「ん、わかりました…。先輩が満足するまでは付き合います。」
城崎の上から退いて、隣に座る。
こてんと城崎の肩に頭を乗せると、城崎は俺の肩を支えるように掴んで抱き寄せた。
「気持ちいいですね…。」
「うん。すげー気持ちいい。ありがとな、城崎。」
「何がですか?」
「旅行の計画立てたりとか、有休取ってくれたりとか、いろいろ頑張ってくれたろ?」
「いえ、俺のためでもあるんで全然。」
「城崎のおかげで仕事ももっと頑張れる。ありがとう。」
美味しいご飯を食べて、露天風呂に浸かって、何より大好きな恋人と二人きりで過ごせて…。
最高のリフレッシュ旅行だ。
城崎にもたれかかったまま、ウトウトと目を閉じた。
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