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第503話
目的地へ着いた。
大学生くらいの女の子たちがきゃあきゃあとはしゃいで、自撮りをしたりしている。
「すげぇ…。カラフルだな。」
「そうですね。まぁこれが若い女の子に人気の理由なのかもしれませんね。さぁ、先輩、お参りに行きましょう。」
城崎を見て話しかけてくる何人かの女の子たちに断りを入れながら、大きなお地蔵様の前に向かう。
白塗りに赤い唇。
少しインパクト強めなお地蔵様。
御賽銭を入れて、お祈りする。
城崎とずっとずっと一緒にいれますように。
馬鹿みたいに何度も願って、叶えてくれなかったら神様のこと恨みそうだ。
長く祈ってたら、隣からカチカチと音が聞こえて顔を上げる。
「何してんの?」
「この拍子木、浮気防止の御利益があるそうですよ。先輩も鳴らします?」
「なっ…?!それって、俺が浮気するって思ってるってこと?!」
「ん〜、そうじゃなくて、先輩に変な虫が寄ってこないようにお祓いしてるって方が近いですかね。」
「じゃあ俺もする。」
城崎から拍子木をもらい、カチカチ鳴らす。
少しでも城崎に色目を使う人が減ったら、俺の心労も多少は緩和するし。
拍子木を鳴らした後、お地蔵様の前に置いてある結び玉を手に取る。
「祈願方法も書いてある。」
「叶ったらお札を返納するんですって。死ぬまで一緒にいたいって祈ったら、返しに来れないですね。」
たしかに…。
何を祈ろうかな……。
「あ。俺思いついちゃいました。」
「何?」
「先輩と結婚できますように。」
「っ…!」
「叶ったら、二人で返納しにきましょう?」
結婚…。
結婚なんて、男同士なのにできんのか…?
でも、したいなぁ…。
心だけじゃなくて、名前も何もかも全て、城崎と重ね合いたい。
重すぎるかもしれないけど、でも城崎もそう思ってくれてるってことだよな…?
左手に結び玉を乗せ、目を閉じて祈った。
俺たちがもしも結婚したとして、それを心から祝ってくれる人は何人いるんだろう?
きっと、周りからの目はより一層キツくなるんだろうな。
それでも城崎がいれば、何も怖くない気がする。
「先輩、祈った?」
「うん。叶ったら、また来よう。」
「はい♪必ず叶えますからね。」
結び玉を境内に結びつけ、俺と城崎はお寺を後にした。
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