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第508話
下灘から松山、そして飛行機に乗って東京へ帰ってきた。
帰りの電車と飛行機は爆睡。
下灘から松山までの各駅停車、城崎が起きてなかったら、俺たちは多分、今頃まだ愛媛にいるだろう。
「今回は堂々と旅行行くって言ってたから、お土産もまぁまぁな量だな。」
「少し無理言って休み貰いましたからね。お土産代いくらでした?」
「だからいいって。俺が出すから。」
「ダメです!先輩のお金は先輩のために使ってください!」
「城崎の金も城崎のために使って欲しいよ、俺だって。」
お互いなかなか引かなかったため、結局は割り勘になった。
こういうときに共有口座があったら、勝手にそこに入れとくのにな…。
「あ、先輩。山上さんから今日のデータ届いてます。」
「見たい!」
城崎がノートパソコンを開き、俺も隣に座る。
メールに添付されていたフォルダを開くと、何枚か夕陽をバックに撮られたものが出てきた。
「さすがプロだな…。これめちゃくちゃ良くないですか?」
「うん…。良すぎ……。」
水平線に沈んでいく夕陽と、逆光の下灘駅をバックに、俺と城崎がキスをしている写真だった。
他人に見られていたと思うと恥ずかしいが、間違いなくこの旅行中に撮った写真で一番良い写真だと思う。
「また山上さんにチューしてるとこ見られちゃいましたね?」
「ほんと…。タイミングいいんだが、悪いんだか。」
「先輩のキス顔見れてるの、相当ラッキーですね、山上さんは。」
「はっ…、需要なさすぎるだろ、それ。」
鼻で笑うと、城崎はムッとして俺の鼻をつまんだ。
どういう怒り方だよ。
「城崎…」
「いくら先輩でも、俺の先輩を貶すことは許しません。」
「悪かった。だから離して。」
「キスしてくれたら許してあげます。」
「いくらでもしてやるよ。ほら。」
鼻をつままれてるから顔を近づけられなくて、代わりに舌をベッと出す。
そしたら城崎は俺の鼻から手を離し、嬉しそうに舌を絡めてキスをした。
「気持ちいい?」
「んっ…、ぁ、ん……」
「明日も休みだから、いい…?」
強請るように囁かれ、迷いなく首を縦に振る。
城崎の大きな手が服の裾から中へ侵入し、俺が好きなところを何度も責め立てた。
城崎と体を重ね合うのは、何度しても新鮮で、気持ち良くて、照れくさい。
「先輩、挿れるよ…っ」
「んっぁ、あっああ♡城崎っ、城崎ぃ…」
いくら与えられても、俺の体は城崎を求めていて、触れられるたびに震え、悦び、安心した。
心も体も満たされて、俺は城崎を受け入れたまま寝落ちてしまった。
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