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第511話
「こういうのって、どうすりゃいいんだ?」
「知らねーよ。でも、あいつのことだから、あげたらすげー喜ぶだろ。」
「そうかなぁ…?キモくない?」
「寧ろ身体中にチョコ塗りたくったら?」
「嫌だよ、そんなの!!つーか、クリスマスの時も同じこと言ってた!!」
「だって喜びそうじゃん。」
もう…!涼真のやつ、絶対面白がってる。
でもマジでどうするか考えなきゃ。
普段ならスーパーやデパートに買い物行ったりするから、そこでバレンタインデー特集とかに気づくかもしれない。
旅行で浮かれていたのと、最近は城崎と真っ直ぐ家に帰ることが多いからすっかり忘れていた。
「出来合いじゃダメかな?」
「んー。まぁ貰えただけで喜びそうではあるけど。そりゃ、手作りの方が嬉しいんじゃね?」
「そうだよなぁ…。」
とは言っても、手作りチョコなんか作ったことない。
男だし、今まではもらう側だったし…。
城崎と違って、料理が得意な方ではないし、お菓子なんて作れるかどうか…。
「やっぱり塗りたくれば?チョコ溶かして自分に塗るだけだぞ?」
「だからそれやめろって。」
「結構本気でいいと思ってんだけどな〜。」
涼真の意見は無視して、スマホで手作りチョコを検索する。
簡単そうなものから難しそうなものまで。
トリュフチョコとか…難しいかな…?
お酒好きだから、ウイスキーボンボンとか…?
「どこで作んの?」
「え。家…?」
「バレるじゃん。」
「たしかに……。」
サプライズで渡したいな…。
その方がもっと喜んでくれそうだし。
「涼真の家、行っていい?」
「バカ。俺を殺す気かよ?」
「なんで?」
「あいつの性格、綾人が一番よく分かってるだろ。綾人がどこかに作りにいくんじゃなくて、城崎を家から出せばよくね?」
そっか…。
たしかに俺が出るのは簡単だけど、出た先の人に迷惑がかかるか…。
「でもどうやって?」
「んー。例えば、実際に足を運ばないと買えない何かを欲しいって言うとか?」
「一緒に行こうって言うだろ。」
「そこはもう、体調不良だの綾人の演技力によるだろ。」
「賭け?」
「無理ならサプライズやめて、目の前で作ればいいじゃん。それでも喜ぶだろ、あいつは。」
たしかに…?
どっちに転んでも喜びそうかもしれない。
「まぁ、なるようになるか。」
「そうそう。あとは何作るか決めとけよ。」
「ん。ありがとう、涼真。」
なんとなくプランを練りながら、俺は城崎にバレないよう計画を進めることにした。
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