512 / 1069

第512話

バレンタイン計画を立てて早4日。 今日から3連休。 チョコを渡すのはバレンタインデー当日でいいとして、作るのは連休最終日の13日くらいに決行できたらと思っていた。 今日と明日は、城崎とのんびり家で過ごしたいなって思ってたはずなのに…。 「じゃあ、行ってきます。戸締まり、必ずしてくださいね?」 「わかったって。いってらっしゃい。頑張って。」 「うん。夜には帰ります♡」 城崎はいってきますのキスをして、家から出て行った。 ツラい……。 あの日から城崎は毎日のようにO社へ出向いている。 職場で会えないどころか、日が経つに連れ帰ってくるのは遅くなり、昨日は頑張って待とうと思ってたのに、俺は疲れてリビングで寝てしまったらしい。 休日まで出勤なんて…。 「早く帰ってきてよ……。」 すでに閉まっているドアに向かって話しかける。 3日間ろくに触れ合えていなかったから、城崎が足りない。 だからと言って、城崎の仕事に対する集中力を切らしたくもない。 もし今俺が城崎に連絡したら、きっと俺を優先してしまうだろうから。 「はぁ……。何もやる気起きねぇ……。」 とりあえず洗濯物を干そうかと洗面所に向かうと、洗濯機の中には空っぽだった。 城崎、昨日も遅かったのに、朝から洗濯干してくれたんだ…。 俺のこと、本当に負担になってないのかな…。 俺と同棲することで、城崎に負担がかかるのは嫌だ。 だからって、今更城崎と離れて暮らせなんて無理な話だけど。 家事については、もう一度ちゃんと話し合わなきゃな…。 「あれ?干し忘れ…?」 洗濯機の近くに城崎のシャツが落ちていた。 顔に近づけて嗅いでみると、洗剤の匂いじゃなくて、城崎の匂いがした。 干し忘れじゃなくて、昨日着てたまだ洗濯していないシャツだ。 あー…、やばいかも……。 「ん……ふ…」 城崎に触れたくて仕方ない今の俺にとって、城崎の匂いが染みついたこのシャツの存在は毒だった。 城崎がいつも付けている香水の匂いが微かにして、少し汗の匂いなんかも混じってる。 俺はシャツを握り締めながらベッドに横になり、自然とズボンの中に手を伸ばして先っぽを弄っていた。 「城崎…、っ……、城崎ッ、城崎……っ♡」 もちろん返事なんてなくて、ただ一人で慰めるだけの虚しい行為。 でも匂いのおかげか、本当に城崎にされてるみたいに想像できて、腰がガクガク震えた。 城崎に会いたくて仕方ない。 いや、会えてはいるんだけど、もっと触れたいというか…。 俺が寝てたら起こしてくれてもいいから、城崎で満たしてほしいのに。 「今日は絶対……。」 絶対抱きしめてもらう。 あわよくばエッチもしたい…。 そのためにまずは帰宅後の城崎の仕事を減らさないと。 俺の欲求を満たし、なおかつ城崎にも楽してもらえるよう計画を練って、俺は早速実行することにした。

ともだちにシェアしよう!