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第513話
計画を実行に移してからは、すげー頑張った。
城崎のこと思い出して自慰に耽る暇もなく、洗濯、片付け、買い物に炊事。
あっという間に夜の8時。
夜ご飯はレバニラ、牡蠣のガーリックバター炒めに、アボカドサラダ。
城崎の疲労が回復するように、スタミナ料理を作った。
「ただいま。……え、いい匂い。」
「城崎っ!おかえり!」
「先輩…、ただいま。」
玄関まで駆けつけると、城崎は両手を広げて俺を待っていた。
誘われるように抱きつくと、ただいまのキスが降ってくる。
「遅くまでお疲れ様。」
「全然平気。それよりごめんね、先輩。本当は先輩と過ごしたかったのに、どうしても今日しか無理で…。」
「仕方ないじゃん。仕事だし。」
「そうなんだけど、俺が寂しかったんです。せっかく先輩と過ごせる休みなのに…。」
城崎はぎゅっと俺を抱きしめる腕に力を込める。
嬉しい。
城崎も俺と一緒の気持ちだったんだって、言葉にしてくれると安心する。
「腹減ってる?」
「はい。ドア開けた瞬間いい匂いして、期待してるんですけど…。」
「うん。作った。」
「やったー!嬉しい、先輩の手料理久々ですね♡」
城崎から鞄とジャケットを預かり、一緒にリビングに向かう。
城崎が手を洗っている間に、テーブルに料理を並べた。
「すご。全部先輩が作ったんですか?」
「うん。嫌いなのない?」
「ないです。食べていいですか?」
「もちろん。」
「じゃあ、いただきます。」
城崎は手を合わせた後、綺麗な所作でレバニラを口に運んだ。
城崎の反応が気になってじっと顔を見ていると、俺の視線に気付いた城崎は顔を上げて微笑んだ。
「めちゃくちゃ美味いです。」
「本当っ?!」
「当たり前ですよ、先輩が作ったんだし。嬉しさで疲れ全部飛んでいっちゃいます。ありがとう、先輩。」
余るんじゃないかと心配になるくらい多めに作っていた料理を、城崎はぺろりと平らげた。
「ご馳走様でした。ふぅ〜、美味しかった!」
城崎が皿を洗おうと立ち上がったから、俺はそれを制して皿を取り上げ、シンクの前に立つ。
食器を洗っていると、城崎に後ろから抱きしめられる。
「今日はなんかいつもに増して甲斐甲斐しくない?」
「っ…!………だって、疲れてるだろ?それなのに俺、いつもしてもらってばっかりで…。」
「俺が好きでやってるからいいんです。でも、たまにこうして先輩に尽くされるのも悪くないですね…。」
「そう…?」
「うん。なんだか夫婦みたいで嬉しい。働いて疲れて帰ってきたら、先輩に出迎えられて、手料理食べて…。幸せだなぁ。」
うわ…。
こんなに城崎が喜んでくれるなんて、なんだか嬉しくて泣いちゃいそうだ。
振り返ると、自然と唇が重なった。
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