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第528話

バレンタインが終わり、仕事が忙しくなった。 城崎は言っていた通り、O社に呼び出されることが増え、時には一週間丸々朝から定時までO社勤務の日もあった。 城崎が抜けている分、もちろん俺たちはいつも以上に頑張らないといけない。 でも、城崎がいなくて時間が経つのが遅く感じてしまうから、これくらい忙しい方が気が紛れて良かった。 仕事を終えてスーパーに寄って家に帰り、飯を作って城崎を待つ。 遅い日は連絡をくれたけど、それでも会いたくて、一緒にご飯を食べたくて待っていたら、そのまま寝落ちてしまっていたりする日も多かった。 週末は会えなかった時間を埋めるように身体を重ね、バレンタインデー以降は特にイベントごともなく、そんな日々を繰り返していた。 「先輩、いつも遅くてごめんね。」 「んーん…。いいよ、お疲れ様。」 今日は金曜日。 城崎は頑張って早く仕事を終わらせて帰ってきてくれるから、金曜日は一緒にお風呂に入って、セックスして、どちらかが疲れて寝落ちするまで話す。 2ラウンドを終え、今日は疲れたのでセックスは終了。 ぴったりと抱きしめ合って話し始めた。 「先輩もお疲れ様です。毎日食事作らせてごめんなさい。」 「困ったときはお互い様だろ。それに、ごめんなさいじゃなくて、ありがとうがいい。」 城崎が悪いことをしたわけじゃないのに、謝られるのは違うと思う。 感謝された方が何倍も嬉しいから、ちゃんと伝えた。 「うん。先輩、いつも美味しいご飯ありがとう。」 「ん。俺の料理スキル上がったか?」 「前から美味しいですけど、最近は味付けの仕方とかが前より工夫されててもっと美味しいです。」 「へぇ〜。料理できるやつは気付くんだな、そういうの。」 最近はレシピ通りじゃなくて、アレンジで何か加えたりしている。 ちゃんと気づいてくれてて嬉しい。 まだ城崎ほど手際よく美味しくはできないけど、料理作るのも楽しいなって感じてきた。 「そういえば先輩、行きたいとこ決まった?」 「え?」 「3月末。俺の仕事が片付いたら遠出しよって言ったじゃないですか。まだ決めかねてるなら、いつでもいいんですけど…。」 「城崎は行きたいとこないの?」 忘れてはいなかったけど、城崎の仕事終わったご褒美なんだから、城崎が行きたいとこに行きたいなーなんて。 俺の行きたいとこに行きたいとか言ってたけど、一応聞いてみる。 「俺ですか?んー……、あ、先輩と夜景見に行きたい。」 「え、いいじゃん。」 「横浜どうですか?海沿いとかドライブしながら…。あ、お昼は近くの中華街でもいいですね。」 「運転疲れない?」 「先輩が隣にいたら疲れないですよ。むしろ先輩の視線をいつもより感じるからご褒美かも?」 「だ、だってそれは城崎が格好良いから……、あっ。」 「何それ。すげー嬉しい。」 本音が出ただけなのだが、どストレートに伝えてしまい顔が熱くなる。 城崎は嬉しそう俺にキスをして、満足そうに笑う。 「じゃあ横浜にしましょう。楽しみにしてます。」 「俺も仕事頑張る。」 「はい。無理しないようにしてくださいね。」 ドライブ楽しみだな…。 城崎とのデートを楽しみに、俺はあと1ヶ月忙しい日々を乗り越えようと心に誓った。

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