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第531話

あれから三日が経ち、木曜日になった。 遅くなるから先に寝ててと言われ、起きたらもう城崎はいない。 毎日昼休みと定時終わりに数分通話するだけ。 今日も朝から会えなくて、今はやっと仕事を終えて家に帰ったところだ。 「城崎、会いたい…。」 『ごめんね、先輩…。ちなみに俺は毎日、先輩のこと抱きしめてるし、キスしてるんだけど……。』 「起こせよ。」 『だって気持ちよさそうに寝てるんだもん。』 城崎は帰ってきてシャワーして、俺を抱きしめて眠りについて、数時間寝て、俺が起きる前に出勤している。 会えていないわけじゃないらしいが、俺は寝てるから会ってるとは言わないだろ…。 「今日は起きて待ってる…。」 『本当にダメ。帰るの2時とかだから…。』 「大丈夫。2時くらいならいける。」 『起きてたら怒りますよ?』 「なんでだよ!?」 『先輩、明日も仕事でしょ?ダメですよ、そんな夜更かししちゃ。』 「城崎は毎日2時間睡眠とかだろうが!」 自分は無茶しておいて、俺にはダメってどういう理屈だ。 俺だって城崎に会いたい。 抱きしめられてる実感が欲しい。 『とにかく!絶対起きてちゃダメですからね!』 「……わかった。もういいよ。」 『分かってくれたならいいんです。週末は必ず休み取れるようにしますから。』 「うん。絶対だぞ。」 『約束です。』 「おやすみ。」と伝えて城崎との通話を切る。 よし。今日は絶対起きて待ってよう。 城崎だって、ああは言ってるけど俺が起きてた方が本当は嬉しいだろ。 最悪寝たふりしてればバレないだろうし。 そうと決まればあとは実行するだけだ。 夕食を作って、城崎の分はラップをして冷蔵庫に入れる。 最近は夜遅くに帰ってくるから、消化しやすいようにうどんや雑炊を、火にかければすぐに食べれるような状態で準備している。 職場で食べてはいるんだろうけど、毎日なくなってるってことは食べてくれてるんだろうし、一応作っておく。 もしかしたら、無理して食べてるのかもしれないけど…。 お風呂に入り、上がった後は栓を抜く。 遅くなるから風呂には入らないって城崎が言うから。 本当はまだ夜は冷え込むから、シャワーだけじゃ心配だ。 だからと言って、実際2時とかに帰ってきて、4時や5時に起きるとなると、お風呂入ってる時間なんてないしな…。 色々してるうちに、俺が寝床に着いたのは22時だった。 城崎が帰ってくるまであと4時間はある。 起きて待ってるつもりではいるけど、さすがに城崎の言う通り、明日も出勤だし、今日も仕事終わりで疲れてる。 一人で起きてても寂しいだけなので、アラームを1時半にセットし、一度寝ることにした。

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