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第532話

アラーム音に目を覚ます。 時刻は深夜1時半。 眠いけど、あと30分もすればきっと城崎が帰ってくる。 会いたい。 眠くても何でも、今はとにかく城崎に会いたい。 寝たふりしておかないと怒られるから、ベッドでジッとする。 そのまま寝てしまいそうになって、何度も何度も眠気と闘っていると、ガチャン…と鍵の開く音がした。 「ただいま……」 玄関でドアが開くなり、足音は真っ直ぐに寝室へ近づき、寝室のドアが開いた。 「先輩、ただいま。」 「………」 城崎は俺の髪を梳いて、額と唇にキスを落とす。 俺の髪を撫でる大きな手は温かくて優しい。 城崎ってば、いつもこんなことしてんの…? 目を開けたいけど開けられないのがもどかしい。 「はぁ……、ねっむ……。」 城崎は大きなため息を吐いて、重い腰を上げて寝室を出て行った。 俺はその場で固まり、顔が熱くなる。 寝てる俺に対しても、あんなに愛情たっぷりに接しているなんて知らなかった。 触れ方や、甘い声、キスだって優しくて、本当に大切にされてるんだって思い知らされる。 40分ほどして城崎が寝室に戻ってくる。 ご飯食べて、シャワーして、ドライヤーもしたらそれくらいになるんだろう。 明日何時に出ていくかは分からないけど、さっきスマホを見たら2時半だったから、もし5時に出ていくとしたら準備時間を考えても4時半には起きなきゃいけない。 こんな短時間睡眠で頑張ってるなんて…。 無理しないでほしい。 「先輩……、大好き……」 「……!」 「寂しい思いさせてごめんね。早く終わらせるから…。」 城崎は寝ている俺に話しかけた。 ぎゅーっと抱きしめられて、温かくて心地良い。 一人で眠るよりも、城崎と眠った方が何倍も温かくて、よく眠れそうだ。 キス……、もっとしたいなぁ……。 今起きたフリしたらダメかな…? 城崎に触れたい。 少しだけ、少しだけだから…。 「ん……」 「先輩…?」 「城崎……」 寝ぼけたふりをして、城崎の背中に手を回す。 城崎は嬉しそうに笑って、俺の頭を撫でる。 「起こしてごめんね。おやすみなさい。」 「んっ…、ん……」 「ンッ…先輩、起きたの?」 城崎は軽くキスしただけなのに、俺は城崎の顔を引き寄せて、舌で城崎の唇を舐めた。

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