532 / 1069
第532話
アラーム音に目を覚ます。
時刻は深夜1時半。
眠いけど、あと30分もすればきっと城崎が帰ってくる。
会いたい。
眠くても何でも、今はとにかく城崎に会いたい。
寝たふりしておかないと怒られるから、ベッドでジッとする。
そのまま寝てしまいそうになって、何度も何度も眠気と闘っていると、ガチャン…と鍵の開く音がした。
「ただいま……」
玄関でドアが開くなり、足音は真っ直ぐに寝室へ近づき、寝室のドアが開いた。
「先輩、ただいま。」
「………」
城崎は俺の髪を梳いて、額と唇にキスを落とす。
俺の髪を撫でる大きな手は温かくて優しい。
城崎ってば、いつもこんなことしてんの…?
目を開けたいけど開けられないのがもどかしい。
「はぁ……、ねっむ……。」
城崎は大きなため息を吐いて、重い腰を上げて寝室を出て行った。
俺はその場で固まり、顔が熱くなる。
寝てる俺に対しても、あんなに愛情たっぷりに接しているなんて知らなかった。
触れ方や、甘い声、キスだって優しくて、本当に大切にされてるんだって思い知らされる。
40分ほどして城崎が寝室に戻ってくる。
ご飯食べて、シャワーして、ドライヤーもしたらそれくらいになるんだろう。
明日何時に出ていくかは分からないけど、さっきスマホを見たら2時半だったから、もし5時に出ていくとしたら準備時間を考えても4時半には起きなきゃいけない。
こんな短時間睡眠で頑張ってるなんて…。
無理しないでほしい。
「先輩……、大好き……」
「……!」
「寂しい思いさせてごめんね。早く終わらせるから…。」
城崎は寝ている俺に話しかけた。
ぎゅーっと抱きしめられて、温かくて心地良い。
一人で眠るよりも、城崎と眠った方が何倍も温かくて、よく眠れそうだ。
キス……、もっとしたいなぁ……。
今起きたフリしたらダメかな…?
城崎に触れたい。
少しだけ、少しだけだから…。
「ん……」
「先輩…?」
「城崎……」
寝ぼけたふりをして、城崎の背中に手を回す。
城崎は嬉しそうに笑って、俺の頭を撫でる。
「起こしてごめんね。おやすみなさい。」
「んっ…、ん……」
「ンッ…先輩、起きたの?」
城崎は軽くキスしただけなのに、俺は城崎の顔を引き寄せて、舌で城崎の唇を舐めた。
ともだちにシェアしよう!