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第533話
やだ。離したくない。
城崎を寝かしてあげないといけないのはわかってるけど、あと少しだけキスしてたい。
「ちょっと…、先輩…?」
「……チュ…、んん…」
「…ん……、ふっ……」
城崎は唇を離そうとしたけど、俺が離したくないのを分かってくれたのか、唇を離すのを諦めた。
お互い舌を絡め、唾液が混ざる。
気持ちいい…。
「城崎……、好き…っ」
「いつから起きてたの、先輩?」
「さっき…」
「本当かなぁ?」
「本当…っ」
嘘ってバレてるかもしれないけど、怒らずに俺の甘えたに付き合ってくれる。
好き。大好き。
「寂しい思いさせてごめんなさい。プロジェクト、今が大詰めなんです。」
「いい…。何も手伝ってやれなくてごめん…。」
「来週からは定時で終わると思います。毎日22時とかに帰るくらいなら、一週間詰め込んで、後で楽する方がいいかなって思っちゃったんです。定時で終わったら、先輩とも一緒に過ごせる時間増えるし。」
「来週は一緒に帰れる…?」
「はい。職場まで迎えに行きます。一緒に帰りましょうね。」
「うん…っ!」
そのために頑張ってくれてたんだ…。
城崎が二人の時間のためを思ってくれてるのが嬉しい。
「とりあえず、忙しいのは明日で終わる予定です。朝帰りになっちゃうかもですけど…。」
「でも土曜いるんだろ?」
「はい。明日終わらせて、遅くても土曜の朝には帰ってきます。」
「そしたら、土曜は一緒にゆっくり昼寝しよう?俺も城崎がいたら、久々に熟睡できる気がする。」
「そうですね。ふふっ、楽しみがあると、明日すげー頑張れそう。」
チュッとキスされて、俺からもキスを返す。
あー…、土曜日楽しみだ。
一緒にいるだけで幸せ。
「先輩、明日は絶対起きてちゃダメですよ?」
「え。」
「今日起きてたでしょ?さっきの寝起きの先輩、猫被ってたもん。」
「えぇ?」
「この一年、どれだけ先輩のこと見てきたと思ってるんですか?寝起きかどうかくらい、分かります。」
えぇ……。
寝起きの俺、どんなだよ?
てか、猫被ってた?さっきの俺。
「寝起きの先輩はね、無遠慮に俺のちんちん揉んでくるような可愛い人なんです。」
「?!!?!」
「まぁいつもの先輩も、今日の猫被った先輩も、わがままな先輩も、怒った先輩もみーんな可愛いんですけどね。」
「ちょ、待って。待って。」
無遠慮にちんちん揉むって何?!
衝撃的すぎて、そのあと城崎が俺のこと褒めてくれてたのに何も入ってこなかった。
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