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第539話
定時にタイムカードを切り、スマホを確認する。
城崎から一件メッセージが入っていた。
『今から向かいます。寒いので社内のカフェで待っててください。』
城崎からのメッセージを見て、ホッとする。
ちゃんと予定通り終わったんだ。
社内に併設されたカフェで珈琲を頼み、スマホを見ながら城崎を待つ。
休日に城崎がふざけて俺のスマホでいっぱい撮ってた写真を見て、思わずくすくす笑う。
俺も城崎も、すげー幸せそうな顔してる。
あ、これは前に一緒にライブ行った時の写真。
初めて生でミズチル聴けて、俺感動して泣いちゃって、そしたら城崎がおろおろし始めて…。
楽しかったなぁ。
「せーんぱいっ♡」
「あ、城崎!」
「写真見てたんですか?」
城崎は俺の隣に座り、スマホを覗き込んだ。
城崎がいるってことは、写真見てる間に結構時間経っちゃってたんだな。
「うん。見てこれ。」
「うわ…。俺めちゃくちゃニヤけてるじゃん、恥ずかしい。」
「格好良いよ?」
そう言うと、照れ臭そうに笑う。
どうしよう…。
人前なのに抱きつきたくなっちゃった…。
「城崎……、早く帰ろ…?」
「珈琲は?」
「すぐ飲む。もう冷めてるから。」
「ゆっくりでいいですよ。」
俺がソワソワしていることに気づいて、城崎は俺の手を撫でる。
落ち着いて、って意味が含まれていたんだろうけど、そんなことされたら余計に触れたくなっちゃう。
「飲み終わった。帰る。」
「はい。帰りましょう。」
一緒に会社を出て、駅まで歩いて、電車に乗って…。
家に着いて、玄関のドアが閉まった瞬間、俺は城崎に抱き着いた。
「先輩、どうしたの?なんかあった?」
「何もない。久々に一緒に帰れて嬉しかっただけ…。」
「何それ。可愛い。」
「ただいまのチューは…?」
「んっ…、いっぱいしてあげますよ?」
「…ふっ、……んん、城崎…♡」
甘えれば甘えるだけ、いっぱい優しく甘やかしてくれる城崎。
くちゅくちゅ唾液の絡む音が、俺の興奮をさらに煽る。
「……っ、触って…」
「どこ触って欲しい…?」
「全部…っ」
詳しく言わなくてもきっと伝わってる。
胸も、お尻も、前の感じる部分も、全部…。
「息、熱いね…?」
「だって…っ、んっ、んん♡」
「可愛い。愛してるよ、先輩。」
触って欲しかったところに触れられて、息が荒くなる。
上目遣いに城崎を見つめると、また唇が重なる。
ああ、好きだ。
城崎のこと、大好きだ。
「お腹空いてない?」
「うん…っ、空いてないからっ、早く…っ」
「ん。ベッド行こっか?」
昂りを抑えられなくて、俺たちは寝室に姿を消した。
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