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第541話
水曜日と木曜日も同じように、定時で終わって城崎と帰り、俺はご機嫌な毎日を過ごしていた。
そして金曜日、仕事中に城崎からメールがきた。
『ごめんなさい。今日急遽、プロジェクト終了祝いの席に招待されました。先方の面子を立てるためにも、少しだけ顔を出してきます。遅くはならないようにするので、先に帰っていてくれますか?』
やっと終わったんだ。
つまり本当の本当に、今日で城崎はO社への出勤が終わりってことだ。
週明けから一緒に働けるのが嬉しくて、少しニヤけてしまう。
でも、今日一緒に帰れないのは少し寂しいな。
家で一人で待つの、辛かったし…。
あ、そうだ。
『一緒に帰りたいから、Aquaで待っててもいい?』
城崎にメッセージを送る。
これなら、家で待つよりも早く帰ってきてくれるかもしれない。
『分かりました。できるだけ早く向かいます。ナンパされても躱 してくださいね。』
城崎からOKが出た。
悪い恋人でごめんな、城崎。
少しでも早く会いたいんだもん。
「望月〜、次教えるからこっちきて〜。」
「はい!」
俺は俺で、主任業務の引き継ぎは大詰め。
おそらく今日で終わると思う。
「後任が望月でよかったよ。」
「えぇ、そうですか?」
「うん。みんなに愛されてるし、もし何か不備があってもみんな助けてくれるだろ。」
「そんなことないですよ…。」
「あるある。特に城崎とか、全部カバーしてくれそう。」
「あはは…。」
それはそうかもしれない。
みんな城崎のこと、本当よく分かってる。
「望月は仕事できるから、俺も何回も助けられたな…。」
「俺ですか?」
「そーそー。これでも結構感謝してるんだぞ?」
「俺も主任には大変お世話になりました。」
「それならよかった。」
主任はホッとしたような顔で、俺に書類を渡していく。
サッと目を通した感じ、どれもしっかり読み込む必要がありそうな…。
でもまぁ急ぎではないし、4月からでもいいか。
「31日の飲み会、楽しみにしてますね。」
「いやー、木曜日なんてみんなくるかな?」
「来ますよ。」
「今日だったらよかったのにな。まぁ全員揃ってる時がいいって言うから、仕方ないけどな。」
営業部はみんな仲良いから、城崎が帰ってきてから送別会をしようということになった。
木曜だけど、そのために今日じゃなくて来週にしたんだから、きっとみんな来る。
久米さんとちゅんちゅんがサプライズも用意してくれてるらしいし、それもまた楽しみだ。
「よし、これで最後。望月、来年度から頼んだぞ。」
「はい。頑張ります。」
全ての書類を引き継ぎ、今日の業務は終了した。
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