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第545話
家に帰ってから、二人ともたがが外れたようにお互いを求め合った。
城崎は俺を安心させるためだったのかもしれない。
城崎の腕に抱きしめられると安心して、城崎の肌と触れ合うと心地良くて、城崎に愛されると満たされた。
いつも以上に愛撫はしつこくて、でも何だか今日はそのしつこさが寧ろよかった。
数度目の絶頂を迎え、全身から力が抜ける。
城崎は上半身だけ起こして、ペットボトルの水を丸々飲み干していた。
上下する喉仏にうっとりと見惚れていると、城崎が俺を見下ろす。
月明かりに照らされた顔は、美術品のように綺麗だと思った。
「好き…。」
「俺も大好きです。愛してる。」
「どうやったら、俺だけの城崎になってくれる…?」
「もうとっくに先輩だけのものです。」
甘えるように擦り寄ると、優しく髪を撫でられる。
俺にだけしか向けない優しい目、優しい声。
城崎にとって、俺が特別だということはわかってる。
わかってるのに、年甲斐もなくあんなことで泣いてしまった。
「みっともなく嫉妬してごめん…。」
「ううん。全部過去が消せたらいいんですけどね…。不安にさせてごめんなさい。」
「謝んなよ…。城崎が今は俺にだけ向き合ってくれてるって、ちゃんと分かってるつもりなんだ…。でも現実見るとな…、困らせてごめん。」
「先輩こそ謝らないでください…。」
体を起こして、城崎の首に腕を回して体を寄せ合う。
キスをするたび、喜びで身体が震えた。
「またあんな思いして欲しくないし、Aqua行くのやめませんか?」
「え…?」
「先輩と出会うまで、あそこで引っ掛けてたんで…。今後も今日みたいなことあるかもしれないですし…。」
「でも麗子ママに会えなくなるよ?」
「俺は誰より先輩を優先したいから。先輩が嫌な思いするなら、行かなくてもいいんです。」
Aquaには俺なんかより長い付き合いの人がたくさんいるはずだ。
麗子ママ、倉科さん、それに新田さんとだって、Aquaで知り合ったって言ってた。
もちろん、今日みたいなこともあるかもしれないけど…。
「城崎の大事な場所、なくしたくない。」
「先輩…」
「城崎が俺を思ってくれてるように、俺も城崎のことすげー大事だよ。だから、城崎が今まで思い出作ってきた場所、俺のせいで行けなくなっちゃうのは嫌だ。」
そう伝えると、城崎はぎゅっと俺を抱きしめた。
力強くて、苦しいくらい。
大好きって伝わってくる。
「先輩…っ、愛してる…」
「ふっ…、さっき聞いた。」
「うん。でも何回言っても足りない…。」
「城崎、わがまま言っていい?」
「何でも聞きます。」
即答。
城崎が真っ直ぐ俺を見つめてくるから、俺は城崎の太腿に股を擦り付けた。
「もっかいシよ…?」
「…っ?!?!か、身体に負担が…」
「大丈夫。今日は繋がったまま寝たい気分なんだよ。」
「わ、かりました…」
城崎は優しく、ガラス細工を扱うみたいに丁寧に俺に触れ、俺をたっぷりと満たしてくれた。
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