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第550話

「あ。あとな、もう一個言いたいことあって…」 「なんですか?」 こっちは喜ばないかもしれないけど…。 と、心配になりながら提案を持ちかける。 「二人の共有口座作らない…?」 「へ?」 「生活費とかさ…、今まで折半してたけど、ほら、家賃とか電気代とかそういうのも含めてさ、共有口座あったら、そこから引き落とせるなぁって…」 お金のことに関しては、意見が割れても仕方ないと思う。 だから無理にとは言わないんだけど…。 「いいの…?」 「え…?」 「作りたいです!だってそれって、先輩が俺との将来本格的に考えてくれてるってことですよね?!ヤバい…、マジで泣きそう…。」 城崎は俺を抱きしめて、何度もキスする。 そんなに嬉しかったのか。 むしろ断られるかもしれないと思ってたから、俺も何だかホッとした。 「結構前から、城崎のこと本気だって伝えてない?」 「そうなんですけど、やっぱり、いざこうやって共有口座作ったりしたいって言われると、訳が違うじゃないですか!」 「そーゆーもん?」 「当たり前でしょ!早速月曜日の昼休みにでも作りにいきましょう!」 「昼休みだけじゃ難しくね?」 「間に合わなかったら、その分残りましょう。」 「水曜でもよくない?」 「水曜は丸々一日デートするからダメです。」 城崎はリビングに行ってしまい、戻ってきたかと思うと、スケジュール帳に細かくタイムスケジュールを書き始めた。 「先輩、俺の通帳と印鑑預けましたよね?」 「え。あ、うん。」 「俺の今の口座からもいくらか引き出して、共有口座に移行させたい。」 「そうするなら、俺も同じだけ移行させるよ。」 「先輩はいいですよ。俺が勝手にしたいだけで。」 「共有口座なんだから、条件は同じにしよう?」 何かあった時のために。お金は大切だから。 まぁその不穏な何かは起こらないでほしいけど…。 「わかりました。じゃあ移行させる金額は程々にします。」 「うん。」 「毎月どれくらい入れますか?」 「まぁ、それは追々でいいんじゃないか?」 「そうですね。すみません。嬉しくて気持ち早まっちゃいました。」 幸せそうに崩れた城崎の顔が愛おしくて、また唇を重ねる。 これから俺と城崎は、どうなっていくのかな? 結婚とか、すんのかな? このままずっと同棲し続けて、内縁関係を成立させてもいいと思ってる。 でも時々、名字を重ねたりとか、養子を取ったりとか、そんな生活を想像してしまったりもするんだよな…。 だって、もう城崎との未来以外、考えられないから。 「先輩〜…、もっかいエッチしていい…?」 「ふっ…、まだ足りないの?」 「先輩との将来想像したら、無性に先輩に触れたくなって…」 「なんかわかる。俺も同じこと考えてた。」 「先輩…っ!」 結局、ほぼ一日中城崎と触れ合っていた。 こんな日があってもいいと思う。 俺と城崎の場合は、こんな日ばっかりな気もするけど。 「愛してる。」 今日だけで何度伝えたかわからないこの言葉を、疲れて眠る城崎に囁いた。

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