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第552話

水曜日、待ちに待った城崎とのドライブデート。 天気は快晴、ドライブ日和だ。 俺は部屋にこもって、今日の服装を考える。 昨日何着かコーディネートを考えて、ハンガーに引っ掛けておいた。 さっき城崎の服を見たら、白のTシャツに淡いブルーのデニムジャケット、黒スキニーで春っぽくまとまったコーディネートだった。 俺が準備したものの中にも、それっぽいコーディネートはあるけど…。 さすがにお揃いは恥ずかしい…よな? 「せーんぱい♡どうしたの?」 「わっ…!?びっくりしたぁ…。」 「服、悩んでるんですか?」 「うん…。どれがいいと思う?」 そっと入ってきたのか、それとも俺が集中しすぎて気づかなかったのか、突然後ろから話しかけられて驚いた。 城崎はクローゼットを見ながら、「これ。」と昨日俺が考えたコーディネートの一つを手に取った。 「それ、城崎と被るだろ…。」 「いいじゃないですか、シミラールック。」 「いいの?」 「俺は嬉しいですよ。先輩は?」 「……嬉しい。」 正直な気持ちを伝えると、城崎はニコッと笑った。 最近はお揃いのこと、シミラールックって言うんだ? こういうの、若い子って嫌なのかと思ってた。 「じゃあ決まり。俺は先に車借りてきます。」 「ん、わかった。」 「着いたら連絡しますね。行ってきます…♡」 チュッとキスをして、城崎は家を出て行った。 俺は部屋でさっき選んだ服に着替え、リビングでテレビをつける。 天気予報を見て雨が降らないことを確認。 ついでに星占いも見てたら、俺と城崎は1位と2位だった。 ラッキーカラーのブルーのハンカチをポケットに入れ、いつでも家を出られるように準備する。 『先輩、着いたよ。』 ピコンっとスマホの通知が鳴り、メッセージを見て顔が緩む。 なんかすげー恋人っぽい…! テレビを消して家を出て、鍵を閉める。 エレベーターで降りている間も、ドキドキワクワク心が躍った。 「お待たせ。」 「先輩、スニーカー履いてきてくれたんですね。」 「え、あぁ。うん。」 「似合ってる。」 ホワイトデーにもらった限定のスニーカー。 汚れないように気をつけないと…。 助手席に乗り込むと、城崎が体を寄せてきて、頬にチュッとキスをした。 「じゃあ行きましょうか。」 「ん…。」 激甘モードの城崎を前に、俺は直視することができずに照れて下を向いていた。 そんな俺に気付きながらも、城崎は信号が赤になるたびに俺の手を握ったり、熱い視線を送ってきたり、顔を寄せてきたり…。 「先輩、俺が運転してる時だけこっち向くのずるい。」 「なっ…?!」 照れ臭くて、城崎が前を向いている間にこっそり見つめていたのにバレていた。 だって…、格好良いんだもん…。 指摘されても格好良いものは格好良い。 ちらっと横目で城崎を見ると、バッチリ目があった。 「やっと目ぇ合いましたね?」 「ば、バカ!前見ろ!!」 「あとで覚悟しといてくださいね〜。」 城崎はくすくす笑いながら、運転中ずっと俺のことを揶揄って楽しんでいた。

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