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第559話

「いらっしゃいませ。」 「先ほど電話させていただきました、城崎です。」 「ようこそ、お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」 スタッフに案内された席は、窓際の夜景のよく見える一等席だった。 広東料理の有名なシェフがいる高級レストラン。 料理は今からコースで運ばれてくるらしい。 「昼も夜も中華でごめんね、先輩。」 「いや、いいんだけどさ…」 「お腹空いてますか?」 「今から空かす。」 あれだけ食べたから、正直なこと言うとそんなにお腹は空いてない。 こんな高級レストラン来るなら、昼もう少し抑えておけばよかった…。 「早く言えよ…。」 「サプライズにしたくて。」 「いや、たしかにサプライズだけど…。」 陽が完全に落ちて、辺りの建物がライトアップされている。 本当に綺麗。 さっき乗った観覧車も、海に掛かる大きな橋も、船も、遊園地も、いろいろなものがキラキラ光り、横浜の夜を照らしている。 「綺麗…。」 「あとでドライブでも綺麗な夜景見せてあげます。」 「これには劣っちゃうだろ…。」 「また違った景色ですから。期待してて下さいね。」 今日は朝から夜まで激甘城崎だ。 いつも甘いけど、なんか今日は彼氏力というか…。 いつにもましてゲロ甘だ。 そしてそんな城崎にキュン…としてしまってる俺。 「美味しいですね。」 「ん…、美味い…。」 「デザート、俺のも食べますか?」 「いいの?」 「俺はあとでとびっきり甘いデザートが控えてますから♡」 あとで…? とびっきり甘いデザート……? ………!!! 「………!ば、馬鹿!!」 「辛辣〜。今日先輩、すげぇ俺のことバカって言ってる。」 「バカなこと言うからだろ!?」 城崎の言うデザートは、きっと俺のことだろう。 恥ずかし気もなくそう言った城崎は、やっぱり甘過ぎる。 いかにも女性が喜びそうな王子様を演じたって、俺は…、俺は……。 「せーんぱい♡」 「な、何…?」 「………あとでいっぱいエッチなことしようね?♡」 周りに聞こえないように、耳元で囁いた城崎の声。 ダイレクトに股間に響き、俺は身動き取れずに顔を真っ赤にしてテーブルに突っ伏した。 誰だ、こいつのこと王子様って言ったやつ。 今すぐ変態エロ王子に訂正しろ!!

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