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第570話
「お疲れ様でーす。」
「あー!遅いぞ、おまえら!」
着いたのは俺たちが一番最後。
一応仕事終わったのは同じ時間だったので、それほど遅くならないだろうと、皆んな待っていてくれたらしい。
「すみません…。」
「何してたんだよ?城崎も一緒だったのか?」
「まぁ…。」
「本当仲良いな、おまえら。」
主任の隣に座り、烏龍茶を頼む。
俺と城崎にも飲み物が届いたのを確認して、部長が乾杯の音頭を取った。
「「「かんぱーい♪♪」」」
乾杯した後は、みんながぞろぞろと主任のところへ挨拶にきた。
とは言っても、営業部だけの飲み会だからそんなに人数はいないけど。
みんな主任のこと大好きだったんだなぁと、心が温かくなる。
「せーんぱい♡」
「城崎っ!どうした?」
「皆さん、主任と話したいみたいですし、先輩はあっちで俺と飲みません?」
「城崎は挨拶しないのか?」
「さっき軽くしましたよ。また後で行きます。今は混んでるし。」
たしかに今は囲まれて大変そうだ。
ちゅんちゅんなんて、主任に優しくしてもらってたから結構懐いてたし。
飲み会始まってすぐ隣キープして、今も譲る気はなさそうだ。
「飲んでいいの?」
「ちょっとだけですよ。」
城崎と隅の方へ移動して、二人で乾杯する。
仕事終わりのビールは格別に美味い。
二杯目を頼もうとすると、城崎に止められた。
「ちょっとだけって言った。」
「ケチ…。」
「度数低いのなら、あと一杯だけ許してあげます。」
譲歩してもらい、俺は店員にカシスソーダを頼んだ。
女子かよ、と自分でツッコミそうになる。
届いたカシスソーダを飲みながら飯を食べ進めていると、あっという間に時間は過ぎて、そろそろお開きの時間になった。
主任が前に立ち、締めの挨拶をする。
「皆さん、今日は忙しい中、俺なんかのために素敵な会を開いてくださってありがとうございました。優しくて明るくて仕事もできる、そんな皆さんと働けて本当に楽しかったです。明日からは新しい場所で頑張ります。皆さんも後任の望月が楽しく働けるよう、これからサポートしてやってください。本当にありがとうございました。」
皆んなが拍手して、久米さんとちゅんちゅんが営業部からのプレゼントを主任に手渡す。
大きな花束と、名入れのボールペン。
「しゅ…、しゅにーん!!」
「うわぁっ!雀田、やめろっ!」
「ぶはっ…!ちゅんちゅん泣きすぎだって!」
ちゅんちゅんは号泣して主任に飛びつき、みんなそれをみて大笑いしていた。
主任を真ん中に写真を撮って、送別会はお開きとなった。
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