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第582話
土曜日と日曜日は、乳首お触り禁止。
金曜日の夜、俺が寝た後にまた触っていたらしく、もちろん土日の二日間で治るわけなかった。
土曜日の夜は本当に大変だった。
セックスするのに、ビンビンに立ってる乳首を城崎が触らないはずもなく、乳首に触れようとしては俺が止めていた。
途中から吸い付き防止にカラシ塗ってやったら、顔を近づけるたびに眉間に皺寄せてて、面白くて笑ってしまった。
もし薬とか塗って、それ城崎が舐めて体に異常起こったら嫌だし…。
って、俺は本当に母親かよ…。
「明日どうしよう…。」
「絆創膏貼るしかないんじゃねぇの。」
「絆創膏貼ってて引っ込みますか?」
「知らねえ。」
俺の横に寝転がりながら、乳首に話しかける城崎。
そんなに心配なら触らなきゃいい話なのに、金曜日あれだけ吸って触ってしたら、そりゃこうなる。
そっけない態度を取っていると、不安そうな顔して抱きつかれる。
「怒った…?」
「怒ってねぇよ。でも乳首のことは城崎が悪いから、俺のせいにしたら怒る。」
「ごめんなさい…。」
「もう一生分吸ったろ?我慢できるな?」
「一生分は全然吸えてないけど…、はい…。我慢します。」
一応反省はしているらしい。
コンプレックスだった陥没乳首。
治らないなら、それはそれでいいかなと思ったけど、さすがにここまで目立つなら陥没していた方がマシ。
城崎にしか触られたくはねぇし…。
乳首が立ってたところで、触りたいと思う奴は城崎しかいないかもしれないが…。
「仕事やだな…。」
城崎が小声でそう言った。
珍し…くはないか?
休み明けは大抵こんなこと言ってる気がしなくもない。
「仕事が嫌なわけじゃねえだろ?」
「うん…。先輩が蛇目さんと一緒にいるのが嫌…。」
「二人にならないようにするから…。」
「うん。明日のお昼は絶対俺ですよ…?」
「わかってる。もし部長に誘われたとしても、明日は絶対に城崎のこと優先する。」
チュッと唇にキスすると、城崎は安心したように笑った。
城崎を宥めながらテレビを見てると、桜の映像が流れる。
そういえば、今年はまだ行ってないな…。
「城崎、明日の帰り、夜桜見に行くか。」
「えっ!」
「ほら、ちょうど満開みたいだぞ。明日晴れるし、たしか二駅先にお花見スポットあるだろ。」
「はいっ!行きたいです!」
城崎の顔がぱぁっと明るくなり、元気が出たようで嬉しい。
よかった、誘ってみて。
「じゃあ明日は定時終わりで頑張ろう。」
「はいっ!」
「夜桜見ながら、ビール飲んでもいい?」
「俺と二人きりだったらいいですよ。きっと出店もあります。夜も済ませちゃいますか?」
「そうだな。そうしよっか。」
お祭りとかお花見とか、夜の屋台って好きだ。
想像しただけでワクワクして、俄然明日の仕事を頑張ろうとやる気が出てきた。
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