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第585話

イベントといえば……。 「エイプリルフール、すっかり忘れてたな。」 「あぁ、そんなイベントありましたね。」 「……なんか機嫌悪い?」 「いや、先輩に嘘つかれるイベントとか絶対嫌だなと思って。」 4月って他に何かあったっけ?と思った時に、エイプリルフールを思い出した。 でも城崎には苦手なイベントらしい。 「可愛い嘘だったらいいですけどね。おねしょしちゃったとか。」 「それは全然可愛くねぇだろ。」 「別れるとか嫌いになったとか、もし嘘でもそんなこと言われたら俺、先輩に何するかわかんないし。」 やば…。 嘘つくとしたら、ど定番にそういうこと口にしてしまいそうだった。 言った後、俺自身も後悔しそうだけど…。 忘れててよかった、俺…。 「ちなみに、そういう嘘言ったら何するの…?」 「何するかわかんないってば。でもまぁ手始めに、監禁して二度と俺から離れられないようにはするかな…。」 「………」 「首輪と枷で身体抑制して、そのあと媚薬とかで薬漬けにして、俺なしじゃ生きていけない体にする。」 「ちょ…、それは…」 「本気ですよ?だから嘘でも別れたいとか言っちゃダメですからね?」 「………わかった。」 城崎の闇を見た気がする。 目が笑ってねーもん…。 これが俗に言うヤンデレというやつなのか…。 「ほら、先輩。お口止まってますよ?早く食べないと休み時間終わっちゃいます。」 「あ、あぁ、ごめん…。」 「余裕持ってお店出て、先輩チャージしたい。」 「う、え、あ……っ」 動揺してグリンピースが転がる。 城崎はクスクス笑いながら、俺の手に触れた。 「キスだけ。誰もいないとこでなら、いいでしょ?」 「う、うん…」 「じゃあ早く食べて?先輩とキスしないと、午後働けなくなっちゃう。」 「何言ってんだよ、バカ…。」 言われた通り早く食べたら、俺がキスを期待してるみたいで恥ずかしい。 だからと言って、このペースで食べてたら本当に時間無くなっちゃうし…。 「先輩、はーやーく♡」 「わ、わかってるって…」 先に食べ終えて俺を見つめる城崎の視線にドキドキしながら、俺は少しだけ食べるペースを早めた。 午後の就業時刻まで残り15分。 お店から出て会社に戻る途中にある狭い路地裏に連れ込まれる。 「んっ…ふ…」 「先輩、可愛い…。」 「んぁ…、ん、んっ…♡…そこ、ダメぇ…」 「グリグリされたら気持ちいいでしょ?腰揺れてるもんね?」 「やだぁ…っ」 股を刺激されながらたっぷりと大人のキスをお見舞いされる。 時計を見てもう時間がないのは分かっているけど、硬くなったソレを放置したまま走るのは無理で、城崎が早急に俺のものを処理した。 そしてなんとか就業時刻ギリギリの時間に滑り込んだ。

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