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第591話
週明けからなかなか濃かった日々を終え、金曜日。
今日は部長と次長に主任昇進祝いで飲みに誘われていた。
誘われたのは二日前。
ちゃんと城崎には帰ってすぐに伝えたんだけど、その日は嫉妬か何か分からないけど激しく抱かれた。
つまり月火水と平日仕事終わりに三日連続セックスした。珍しく。
普段の金曜日の倍、気持ちは元気だけど、体が疲れてる。
「先輩、絶対飲んじゃダメですよ。」
「分かってるってば…」
「俺いないんですからね?一滴も飲んじゃダメ。」
「分かった分かった。」
「やっぱり俺もついて行った方がいいですか?」
朝から城崎は心配そうに、俺の周りをうろちょろしている。
今日だけで何度聞いたか…。
耳にタコができてしまいそうだ。
「城崎は同期で飲みに行くんだろ?」
「そう…ですけど……」
「いつも俺ばっか優先してるんだから、ちゃんと他との付き合いも大切にしろよ?帰ったら会えるんだから。」
「はい……」
俺が飲みに誘われる前、城崎も同期に飲みに誘われていたらしい。
断ろうとしていたみたいだけど、俺も飲み会だし、せっかくだから行けばいいと俺が勧めた。
俺と涼真みたいに、同期で気が合う奴ができれば今後の城崎のためにもなると思うし。
「あー…、不安。先輩、キスマーク付けたい…。」
「ダメ。大体、部長と次長が俺に対して恋愛的な意味で気があると思うか?」
「思いませんけど…。」
「じゃあいいだろ。ほら、昼休み終わるぞ。」
小会議室から出ようとすると、後ろから城崎に腕を引かれる。
「んっ…」
「おまじない。先輩に変な虫が寄り付かないように。」
「バカっ…!こんなとこで…」
「いいじゃん。誰も見てないし。」
「………」
城崎に抱きしめられ、俺は黙った。
抱きしめられて満更でもないからだ。
あー…、なんか飲み会行きたくなくなってきた。
「できるだけ早く帰る…。」
「俺も早く帰って待ってます。」
「何時に帰る?」
「遅くても21時にはお店出ようかな。先輩は?」
「部長たちの機嫌損ねない程度に、できるだけ早く抜けるようにする。俺も21時には出れるように頑張る。」
「はいっ!無理しないでくださいね。」
好き…。
好きすぎて、もう既に帰りたい。
帰って一緒にいたいなぁ…。
「先輩、今めちゃくちゃ可愛い顔してる。」
「……?」
「俺のこと、大好きで大好きで仕方ないって顔。」
「えっ…!」
俺そんなに顔に出てた?!
自分の顔をペタペタ触ってると、城崎が嬉しそうに笑う。
「嘘ですよ。可愛いのは本当だけど。」
「揶揄ったのか?!」
「だって先輩が可愛いんだもん。ねぇ先輩、絶対飲んじゃダメだよ?」
「分かったってば…!」
側から見ればただのイチャイチャにしか見えない軽い痴話喧嘩をしていたら、昼休みが終わった。
俺と城崎は急いで部署に戻り、午後の業務を開始した。
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