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第592話
仕事を終え、部長と次長とともに職場を出る。
城崎以外と職場出るの、久々だな…。
「今日は望月の昇進祝いだからな。財布は閉まっとけよ〜!」
「ありがとうございます。」
「店はもう予約してるんだ。私も久しぶりに行くんだよ。」
部長は店に向かう間、ずっと上機嫌だった。
次長もなんだかそわそわしてて、目的地に着いた時にその理由がよく分かった。
「部長……、ここって……」
「何立ち止まってるんだ?行くぞ〜。」
「あの…っ、俺……」
「ほら、進む!」
ネオン街に入った時から嫌な予感はしていた。
ここ、キャバクラじゃん…。
次長はキャバ嬢に誘 われるように、いの一番に中に入っていき、部長も俺の背中を押して中へ進む。
どうしよう。行きたくない…。
一年前だったら普通に入ったかもしれないけど、今は状況が違う。
だって、俺が逆の立場だったら嫌だ。
「部長…。俺、恋人いるんです。だから…」
「大人の遊びだぞ〜、望月。今日きっかけに遊び方覚えとけ。」
「でも…」
「浮気とかじゃないんだから、気にするな。私なんて妻子持ちだぞ?」
断ってみたけど、どうも無理そうだ。
仕方ない。
部長たちがお酒入って酔っ払った頃を見計らって、さっさと帰ろう…。
諦めて店に入ると、胸元の開いたドレスを着た女の子たちが出迎える。
「いらっしゃいませ〜♡」
「沼田さん、お久しぶりです♡寂しかったですぅ〜。」
女の子のうちの一人が部長の腕に体を寄せる。
この子が部長のお気に入りの子なのかな。
「沙織 ちゃ〜ん♡久しぶり〜!今日は部下二人連れてきたんだよ。紹介していいかい?」
「はいっ!もちろんです〜!」
「次長の林 、あと今日の主役の望月だ。」
紹介されたので、一応軽く頭を下げて挨拶する。
「主役ぅ?何かのお祝いですかぁ?」
「望月の主任昇進祝いなんだ。望月は有望株だぞ〜。」
「え〜♡Sコーポレーションで、若くてイケメンで主任なんてすごぉ〜い!」
「そんな若くないですよ…。」
沙織さんが部長から離れ、俺の腕にピタッと胸を寄せる。
胸でか…。
って、ダメダメ!見ちゃダメだ!!
「あの…っ」
「こーら。沙織ちゃんは私の隣だろ〜?」
「ごめんなさ〜い♡望月さんには別の若い子付けますねっ♪」
席に案内され、部長は隣に沙織さんを、次長も好みの子を指名して隣に付け、俺は希望がなかったので沙織さんが紹介してくれた子が隣に座った。
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