597 / 1069
第597話
「先輩、おはよう♡」
「ぅ……」
恋人のキスで目を覚ます。
俺はパンツだけ履かされて、ほぼ裸。
城崎も上半身は裸だ。
そういえば、俺昨日風呂場で寝落ちたんだっけ…。
「お腹、大丈夫ですか?」
優しくお腹をさすられる。
言われてみれば、少しだけお腹が痛い。
「少し…。」
「そっか。一応掻き出したんですけど、残ってたのかも。」
「…っ」
そうだ。中出しされたんだった…。
だからお腹の調子あんまり良くないのか。
「でも、本当に少しだけだから。言われてみれば…くらいだし!」
「ほんと?よかった。」
「城崎、今日はずっと一緒にいてくれる?」
「なにそれ。可愛い。一緒にいるに決まってるじゃないですか!」
ギューっと抱きしめられ、頬ずりをされる。
うー…、苦しいけど幸せ……。
「あ。でもクリーニング出しに行かなきゃ。お互い、あんな匂いつけてるの嫌ですしね。」
「そっか…。うん、そうだな。」
城崎は困ったような顔でそう言った。
女の子に擦り寄られて移った、甘い香水の匂い。
毎日着るスーツにあの匂いが付いてるのは嫌だし、城崎から城崎以外の匂いがするのもすげーやだ。
「さっさと行って、すぐ帰ってきますね。」
「俺も行く。」
「えー?いいのに。」
「ダメか?」
「ダメじゃない。一緒にいられて嬉しいです。」
城崎が服を着始めたので、俺もクローゼットから服を選ぶ。
今日はとことん城崎と一緒にいるつもりだ。
また変な奴が寄り付いたら気分悪いし。
「つーかさ…、昨日なんであんなことになったんだよ…?俺も人のこと言えないけど…。」
「ごめんなさい…。」
「いや、もう怒ってない!一応、理由聞きたいだけ…。」
「……同期が飲みに行こうって、歩く方向で嫌な予感したんですけど、一応ついていって、そしたらおっぱいパブで…。男だけだからって、甘く見てました…。」
城崎も騙されたのか…。
騙されたというか、俺と一緒で目的地を知らなかったんだよな。
「昨日城崎の友達が、城崎から触ってないって言ってたの聞いて安心した…。」
「触るわけないじゃないですか。」
「うん…。でもやっぱり不安だったから…。」
「俺、先輩でしか満たされないもん。てことで、触ってもいいですか?」
「だっ、ダメ!クリーニング出してから…っ!」
「え〜。残念。」
城崎は俺のことを抱きしめて、首筋に数回キスをした。
ともだちにシェアしよう!