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第603話

毎日毎日追いかけ回されて満身創痍で帰ってくる城崎を労わり続けて5日目。 「やっと金曜日だ……」 朝から疲れ切った顔をする城崎にキスして、元気を出してもらう。 今週はおはよう、いってきます、ただいま、おやすみだけじゃなくて、城崎の好きな時に好きなだけキスしてる。 俺のキスなんかで元気が出るならと思ったけど、俺もすごく満たされてるからいいのかも。 「先輩…。」 「ん〜?」 「今日帰ったらエッチしたい…。」 キスしながらお尻を揉まれて、ストレートなお誘いを受ける。 月曜からご無沙汰だから、溜まってるんだと思う。 そわそわした表情の城崎が可愛くて、ぎゅっと抱きしめた。 「いいよ?」 「やった♪早く帰りましょうねっ!」 「でも今日歓迎会だぞ。」 「あ……。」 城崎は歓迎会のことを完全に忘れていたらしく、また疲れ切った顔に戻ってしまった。 蛙石くんは城崎の天敵なのかもしれない。 最初は俺に何も害はなさそうだと喜んでいたのに、5連勤が終わった今では蛇目が来た時より表情が暗い。 「俺から蛙石くんに言おうか?城崎が困ってるって。」 「いいです…。あいつ言っても通じないし…。」 「うーん…。でもこのままだと城崎がしんどいだろ。困ったな…。」 何か解決策はないかと思案していると、城崎はまた俺を抱きしめてキスをした。 「先輩が俺のこと心配してくれてるだけで救われます。大丈夫です。俺が耐えればいいだけですから。」 「でも仕事と関係なく城崎にストレスがかかるのは、俺も嫌だよ。」 「先輩が毎日優しくしてくれるから大丈夫…。」 「無理すんなって。指導担当の久米さんにも相談してみるよ。」 「先輩…。ありがとうございます…。」 よしよしと城崎の頭を撫でる。 そろそろ家を出ないと間に合わない。 「城崎、とりあえず今日を乗り切ろうな。俺もちゃんとフォローするから。」 「はい。」 「さっさと仕事終わらせて、歓迎会だけ参加して、二次会は行かずに帰って、そんで帰ったらエッチしよ?」 「〜〜っ!先輩、好き。大好き。」 苦しいくらいに抱きしめられて、何度もキスをして、城崎の表情が和らいだのを確認してから家を出た。 周りに人がいない時だけ手を繋いだり、電車の中では満員なことにかこつけて密着したり、とにかく城崎と触れ合う時間を作った。 そうしたら、職場に着いた時、いつもより城崎の表情は明るいように感じた。

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