612 / 1069

第612話

「あ、でもゴールデンウィークか。」 「ん?忘れてたのか?」 「今年のゴールデンウィーク、一日出勤挟むから連休感なくて…。5月の三連休は旅行行ってもいいかもですね!先輩、行きたいところありますか?」 俺がどこか行きたいか聞いたのに、結局聞き返された。 行きたいところか…。 「水族館…。」 「ん?」 「初めてデートした水族館…、どう?」 「いいですね!せっかくだから、去年の再現とかどうですか?」 「それはダメ。そんなことしたら、また城崎が高級ホテル予約すんだろ。」 「え〜。ダメ?」 「せっかく二人きりの家があるんだから、未来の俺たちのために無駄遣いは禁止。」 未来の俺たちのため。 そう言うと、城崎は嬉しそうに笑う。 「先輩大好き♡」 「あー、うん…//」 自分で言って照れ臭くなった。 恥っず…。 城崎が臭いセリフでも喜ぶ奴でよかった…。 「じゃあ水族館終わったら、家に帰ってご飯食べてブイハ見るってことでいい?」 「はい!夜ご飯はあれ作りますね。」 「「サーモンとアボカドのクリームパスタ!」」 お互いに"あれ"で分かってしまうくらい、ちゃんと覚えてる。 初めて城崎の手料理食べて、胃袋掴まれたんだもん。 「ブイハ、先輩ほとんど寝てて見てなかったですけどね。」 「今年は起きる。」 「ほんとかなぁ?」 城崎はクスクス笑いながら、俺の髪を撫でた。 去年の今頃の俺がこの光景見たら、びっくりするんだろうな。 「先輩、のぼせちゃうからそろそろ出ましょうか。」 「うん。帰ったらどうする?」 「明後日からのために、二日かけて先輩チャージです。」 「ぶはっ!マジか。」 「マジです。」 散々ヤッたのに、帰ってからもチャージするらしい。 「元気すぎ…」 城崎の胸板に頬を寄せて呟くと、城崎はにやにやと笑った。 「先輩チャージとは言いましたけど、エッチするとは言ってませんよ?」 「………!!」 「もしかして先輩、足りなかったですか?」 「そんなことない!大丈夫!足りてる!」 「遠慮しなくていいんですよ♡い〜っぱい、愛してあげます♡♡」 俺の勘違いで、城崎の何かに火をつけてしまったようだ。 何度言い訳しても、俺が照れていると思い込んでいる城崎は聞く耳を持たず、家に帰ってすぐに寝室に連れ込まれてしまった。

ともだちにシェアしよう!