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第612話
「あ、でもゴールデンウィークか。」
「ん?忘れてたのか?」
「今年のゴールデンウィーク、一日出勤挟むから連休感なくて…。5月の三連休は旅行行ってもいいかもですね!先輩、行きたいところありますか?」
俺がどこか行きたいか聞いたのに、結局聞き返された。
行きたいところか…。
「水族館…。」
「ん?」
「初めてデートした水族館…、どう?」
「いいですね!せっかくだから、去年の再現とかどうですか?」
「それはダメ。そんなことしたら、また城崎が高級ホテル予約すんだろ。」
「え〜。ダメ?」
「せっかく二人きりの家があるんだから、未来の俺たちのために無駄遣いは禁止。」
未来の俺たちのため。
そう言うと、城崎は嬉しそうに笑う。
「先輩大好き♡」
「あー、うん…//」
自分で言って照れ臭くなった。
恥っず…。
城崎が臭いセリフでも喜ぶ奴でよかった…。
「じゃあ水族館終わったら、家に帰ってご飯食べてブイハ見るってことでいい?」
「はい!夜ご飯はあれ作りますね。」
「「サーモンとアボカドのクリームパスタ!」」
お互いに"あれ"で分かってしまうくらい、ちゃんと覚えてる。
初めて城崎の手料理食べて、胃袋掴まれたんだもん。
「ブイハ、先輩ほとんど寝てて見てなかったですけどね。」
「今年は起きる。」
「ほんとかなぁ?」
城崎はクスクス笑いながら、俺の髪を撫でた。
去年の今頃の俺がこの光景見たら、びっくりするんだろうな。
「先輩、のぼせちゃうからそろそろ出ましょうか。」
「うん。帰ったらどうする?」
「明後日からのために、二日かけて先輩チャージです。」
「ぶはっ!マジか。」
「マジです。」
散々ヤッたのに、帰ってからもチャージするらしい。
「元気すぎ…」
城崎の胸板に頬を寄せて呟くと、城崎はにやにやと笑った。
「先輩チャージとは言いましたけど、エッチするとは言ってませんよ?」
「………!!」
「もしかして先輩、足りなかったですか?」
「そんなことない!大丈夫!足りてる!」
「遠慮しなくていいんですよ♡い〜っぱい、愛してあげます♡♡」
俺の勘違いで、城崎の何かに火をつけてしまったようだ。
何度言い訳しても、俺が照れていると思い込んでいる城崎は聞く耳を持たず、家に帰ってすぐに寝室に連れ込まれてしまった。
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