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第613話

週明け、出勤するや否や、俺と城崎は驚いて固まった。 「蛇目さん!次は何をすればいいですか?」 「じゃあ次はこの資料を捌いてください。」 「わかりました!」 蛙石くんが目をキラキラさせて、蛇目の周りをうろついていた。 あれほど城崎に執着していたのが嘘みたいだ。 手懐けるのが得意って、マジだったのか。 「あ。主任、城崎くん、おはようございます。体調はいかがですか?」 「おはよう。平気だよ。途中で抜けて悪かったな…。」 「いえ、とんでもございません。ご無事でよかったです。」 そういえば歓迎会の途中で抜けたんだった。 こいつは多分、何かと察しているんだろうけど…。 「私も顔を赤くして、目を潤ませている主任のお姿、拝見したかったです。」 「なっ…?!」 「ふふっ(笑)皆さんが言ってましたよ?酔ってたとおっしゃってましたけどね。」 あ、危ねぇ…。 みんな酔っ払ってて良かった……。 動揺して固まっていると、城崎が蛇目と俺の間に割って入った。 「蛇目さん、蛙石のことありがとうございます。助かりました。」 「あぁ、彼?聞き分けが良くて、素直ないい子ですよ。」 「蛇目さんと相性いいみたいで良かったです。」 「ところで、今主任とお話していたんですが、城崎くんがそこに立つと話しにくいんですよね。」 「はい。わざとここに立っているので、そう感じてくださっているなら良かったです。」 城崎と蛇目は、ニコニコと胡散臭い笑顔を貼り付けながら会話をしている。 腹の中がわからない者同士が話すとこうなるのか…。 いや、分からなくはないけど…。 「おーい、望月〜。ちょっと話があるんだが」 「え、あ、今行きます!……城崎、また後でな。」 「はい。今日のお昼も一緒に食べましょうね♡」 「おー。じゃあな。」 部長に呼ばれて、渋々その場を後にした。 あいつら二人にして大丈夫かな…? まぁ人もいるし、職場だし、変なこと言わないと思うけど。 「部長、どうされましたか?」 「あー…、6月に何組か出張に出てもらうんだが、その配置を一応望月にも確認しておいてもらおうと思ってな。」 「私が見てもよろしいんでしょうか…?」 「主任になったろ?俺は上に呼ばれたりして、ずっとここにいるわけじゃないからな。人間関係とかはお前の方がよく知ってるだろう。」 「分かりました。」 部長に手渡された紙を見る。 紙には配置、つまり名前と行き先と日程が記載されていた。

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