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第614話

何組か出張が書かれている中で、やっぱり気になってしまうのは、俺と城崎が誰とどこに行くのか。 "城崎、雀田→大阪 6月1日〜3日" なるほど。 城崎はちゅんちゅんと大阪出張らしい。 城崎はまた大阪か。 向こうの社長に気に入られたのかな…? 俺も城崎と大阪行きたいなぁ…、なんて。 遊びに行くわけじゃないから、そんなこと言えるわけないんだけど。 他の配置も確認しながら読み進めていくと、最後の行に俺の名前。 "望月、蛇目→福岡 6月8日〜10日" うわ……。 城崎めちゃくちゃ怒りそう…。 しかも城崎と出張期間被らないのに、お互い2泊3日かぁ…。 「どう思う?仲悪いペアとかないか?」 「いいんじゃないでしょうか…。」 「ありがとう。じゃあ皆んなにはこれで下ろすよ。」 部長はお礼を言って、俺をデスクに返した。 これ、城崎になんて言えばいいんだろう…。 仕事だから仕方ないんだけどさ…。 ホテルの部屋だって分けて取ってくれるはずだし。 正直に話すしかないよな。 でも、あー…、発表されるまで黙っとく方がいいのかな? 城崎のメンタルって、意外と脆かったりするしな。 「せーんぱい♡おかえりなさい♡」 「おー。」 「あれ?元気ない?何の話だったんですか?」 顔に出してないつもりだったのに、すぐバレた。 城崎って、ほんと俺のことよく見てるよなぁ。 小さい変化にも気づいてくれて、もちろん恋人としては嬉しいんだけど、気づかれたくないことまで気づかれるのは難点だな…。 「何でもねーよ。仕事戻りな。」 「本当?」 「ほんとほんと。ほら、さっさと終わらせないと、定時に上がれないぞ。」 「はーい。」 城崎は深追いせずに仕事に戻った。 俺も仕事始めねぇと。 「…………。」 椅子に座って何となく察した。 今日は長時間デスクワークができない日だと。 何故かって、週末ヤリすぎたせいでめちゃくちゃ腰と尻に負担きてる。 でもこの重怠さは嫌いじゃない。 城崎に愛された証拠でもあるから。 「城崎のバカ……。」 頭が城崎のことでいっぱいになる。 俺は机に突っ伏して、重怠い腰を摩りながら、そう小さく呟いた。

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