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第615話

二週間が経ち、今日は4月29日。 つまり今日からゴールデンウィーク。 そして明日は付き合って1年記念日だ。 「先輩、おはよ♡」 「んっ…、おはよう。」 (ついば)むようなキスがたくさん降ってきて、甘い朝を迎える。 城崎はご機嫌らしい。 「先輩、最終確認ですけど、本当に本当にどこも行かない?俺と家で過ごすってことでいいんですか?」 「うん。いいよ、それで。」 「で、5月3日は水族館デートですよ?もうチケット取ってるから絶対ね?」 「うん。わかってる。」 「あとね、麗子ママが祝ってくれるって。5月5日どうですか?貸切できるって。」 「じゃあお言葉に甘えようかな?」 「やった!じゃあ返事しておきますね!」 城崎は声色から分かるくらい嬉しそうだ。 タタターンッとスマホで何かを打って、ベッドに投げ捨てた。 おそらく麗子ママに返事したんだと思う。 「先輩」 「どうした?」 「朝から先輩のこと愛したい。ダメ?」 「いいよ。でも先に飯食いたいかも。」 「わかりました!」 城崎はベッドから出て、キッチンの方へ走っていった。 間もなく珈琲のいい香りと、バターの匂いが漂ってくる。 「先輩っ!できました!」 「サンキュ。………うん、美味い。」 「よかったぁ〜。今日はね、美味しい食パン買ってきたんです。」 「ふっ…(笑)いつの間に?」 「昨日の営業の帰り。このパン屋さん、最近話題なんですって。先輩知ってます?」 「あー、なんか聞いたことある。テレビでやってた。」 紙袋を見ながらそう返事した。 城崎はキッチンからコーヒー豆の袋も持ってきた。 「先輩、これもね、ちょっといつもより高いやつ。」 「へぇ〜。たしかにいつもより味深いかも。どこの?」 「○○の交差点曲がったところにあるんです。これも営業先で聞いて…」 城崎は楽しそうに話し始めた。 可愛い。 俺との記念日のために、いろんな特別を揃えてくれたんだ。 「でね、これが…」 「城崎、大好き。」 「えっ!?待って!もう一回!」 浮き足立っている城崎に軽いジャブ。 案の定聞き逃して焦ってる。 「愛してるよ、城崎。」 今度ははっきり伝えると、城崎は堪らない顔をして俺を抱きしめた。

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