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第616話

城崎の腕が強く俺を抱きしめる。 苦しいのが心地良く感じてしまうくらい、必死で俺を抱きしめる城崎が愛おしい。 「いい…?」 「うん。」 いつもと違って余裕がない城崎の頭を撫でる。 城崎は俺を抱き上げて、寝室に急いだ。 ベッドに下ろされて、また力強く抱きしめられる。 「今日の俺、余裕なさすぎてダサいかも…。」 「いいよ。今日の城崎、なんか可愛い。」 「先輩好き…っ、大好き…。」 「んっ…、ぁ、あ…」 両手を顔の横で押さえつけられて、息継ぐ暇もなくキスが降ってくる。 城崎の舌が口内を暴れ、俺の声は形にならずに喘ぐように漏れ出る。 「あっ…ぁん…、んぅ…♡」 「はっ…、可愛い…」 「ふぅ…、んんっ…」 「先輩、好きだよ。大好き。愛してる。」 「お…れもっ…」 リップ音を立てて、唇が離れる。 少し口寂しくなって城崎を見上げると、城崎は熱の篭った瞳で俺を見下ろしていた。 こんなにも激しくキスをしたのに、城崎は俺の頬をまるでガラス細工を扱うみたいに優しく包み、また優しくキスを落とす。 「先輩、脱がせてもいい…?」 「い…いよ…。」 城崎の大きな手が裾から入ってきて、俺は脱がせやすいようにバンザイした。 そしたら城崎がクスクス笑うから、ムッとして城崎を睨むと、それを見てまた笑われる。 「なんだよ…。」 「いや、可愛くて…」 「早く脱がせろ…。恥ずかしい……。」 じっと見られていると恥ずかしくて、目を逸らす。 城崎は俺の服を脱がせ、優しくベッドに俺を押し倒した。 城崎の唇が、首筋、鎖骨と、どんどん下に降りていく。 「ここ、やっと元に戻ってきましたね…」 「んぁっ…♡ちょ、城崎…っ」 「まだ敏感ですね。少し弄りますよ?」 「んあぁっ♡」 ぷっくり腫れていた俺の乳首は、城崎が数週間我慢したおかげでかなり腫れも引いて、陥没乳首に戻りつつあった。 でもまだ完全には治ってなくて、まだ腫れてぴょこんと飛び出している。 それを口内に含まれたりしたら、そりゃ感じちゃうに決まってんだろ…。 「あっ♡ああっ♡」 「可愛い…。先輩、勃ってる…」 「んぁっ♡あ…たりまえだろ…!」 「気持ちいい?」 「ひっぁ…♡き…もちよ…、なかったら…、っ、こんな声、出さないぃ…!」 「それもそうですね。」 「あぁあっ♡」 城崎がぐりっと膝で俺の股間を刺激した拍子に、俺は呆気なくイッた。 もう…最悪…。 下着の中がグチョグチョして気持ち悪い。 「バカ……」 「そのバカは照れ隠しって分かってるから、何回言ってもいいですよ?」 「バカバカバカ。」 余裕の笑みを浮かべる城崎の胸板を、ぽこぽこ叩いた。

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