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第622話

やば…。めちゃくちゃ格好良いんだけど…。 今より少し若い城崎。 髪色は今より結構明るくて、ピアスもしてて、なんだか学生っぽい。 スタイル良くて、横顔も綺麗で、ワントーンコーデを着こなしてて、こんなのモテないわけなくない? 「どう…?っていっても、数年前ですけどね。」 「………好き。」 「え?」 「ずるい。俺も読モしてる城崎と会いたかった…。」 キャンパス内にこんなイケメンがいるなんて狡くない? みんな放っておかなかっただろうな…。 「嬉しいこと言ってくれてますけど、先輩1年間俺のことただの部下としか見てなかったじゃないですか。キャンパス内にいたところで、気にも止めませんよ、きっと。」 「……そうかもしんないけど。」 自分勝手なこと言ってるのはわかってる。 城崎と付き合って、今大好きだからこんなこと言ってるだけで、城崎の言う通り、城崎が入職して一年間、そばにいてもただの部下としか思ってなかった。 城崎が勇気を出して、俺にアプローチしてくれたから今がある。 手に入れると、こんなにも与えられてるのに、もっともっとって、全部欲しくなっちゃうんだ。 我ながら欲深い人間だと思う。 「過去の俺はあげたくてもあげられないです。…でも、今の俺と未来の俺は、全部先輩のものだから。」 「ん……。」 「あとね、先輩。」 「うん。」 「これ、プレゼント。」 「え?」 城崎はラッピングされた四角い箱を俺に渡した。 外装を外すと、中にはフォトフレーム。 「デジタルフォトフレーム。先輩との思い出の写真、いっぱい登録したんです。寝室に飾りませんか?」 「飾る!」 「これからまた写真増えたら、どんどん増やしていきましょう。」 「うん。ありがとう、城崎。」 ギュッと城崎に抱きついた。 こんなに尽くしてくれる人、後にも先にも城崎しかいないんだろうな。 前世の俺、どんだけ徳積んだんだよ。 幸せすぎて、全部夢かと思ってしまう。 「なんか怖ぇ。」 「え?何が?」 「俺、城崎のこと好きすぎて。」 「えっ?!もう一回!!もう一回聞きたい!!」 「バカ(笑)声でけーよ。」 考えていたことが、声になってぽろっと出た。 一緒に時間を過ごすにつれて、城崎のことどんどん好きになっているのが自分で分かる。 でもだからこそ、何かあった時に俺は耐えられるのかって怖くなる。 俺は城崎の隣にいていい自信を、未だに持ち合わせていない。 同じ男で、歳も離れてて、きっと俺なんかより城崎に見合う人は世界に山ほどいて。 なんで城崎は俺なんかを選んでくれたんだろうって、時々思うんだ。 「好きだよ、城崎。大好き。」 「俺も。先輩だけ。……愛してます。」 触れるだけのキスから、だんだん深くなっていき、俺たちはまた、自然とお互いを求め合った。

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