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第623話
城崎と濃密な三連休を過ごし、ゴールデンウィーク中1回目の平日出勤。
なかなか仕事モードになれなくて、朝ギリギリまで城崎とベッドでいちゃついた。
「やっべ…。駅まで走んなきゃ…。」
「え〜。」
「城崎も時間分かってたなら止めろよ!」
「先輩から甘えられて、止められるわけなくないですか?」
慌てて準備する俺と、いつも通り準備する城崎。
なんでこいつ、こんなに余裕なんだよ?!
「電車!!5分後のやつ乗り遅れたら遅刻だぞ!?」
「歩いて5分なんですから、走ればいけますよ。」
「俺の歳考えて!!」
「まだ30でしょ?いけますって♡」
「なんで語尾にハート付いてんだよ!」
「ん〜?まだ30なんですから、体力的にいろいろ頑張ってもらわなきゃな〜って?」
こんなに慌ててる時に冗談を言えるその余裕、俺にも少し分けてほしい。
結局家から駅まで休憩なく走り続け、なんとか電車に乗り込んだ。
「乗れましたね。よかった。」
「…………」
肩で息をしている俺の隣で、涼しい顔でそう言う城崎。
もともと足も速いんだろうな…。
すげー俺に合わせて走ってくれてる感じだったし…。
「先輩、こっち。」
「うぉっ?!」
次の駅で人がたくさん乗り込んできて、ギュゥっと中に押される。
城崎は俺をドア側にして、俺を守るように囲った。
これは所謂壁ドンというやつでは…?
昔、カップルで流行ったあれでは……?
女じゃなくても、された方はキュンってしちゃうんだな。
あ、俺が城崎のこと好きだからか…。
いや、城崎にされたら誰だってキュンとするだろ。
「先輩、なに変な顔してるんですか。」
「ふぇっ?!」
「ぷっ…(笑)変な声。」
「ば、バカにすんな!」
「はいはい。降りますよ〜。」
城崎に腕を引かれて下車する。
駅から会社まではタクシーを捕まえて、そのおかげで少し余裕を持って会社に着いた。
「おはよ、綾人、城崎。」
「涼真!おはよう。」
「おはようございます…。」
「城崎、相変わらず愛想悪いな〜。そんな態度じゃ、これあげねーよ?」
涼真は紙袋を俺たちに見せて掲げた。
城崎はニコッと笑顔を貼り付けて、涼真にもう一度挨拶する。
「おはようございます!」
「うむ。よろしい。」
涼真は城崎に紙袋を渡した。
俺も城崎の腕を掴んで、紙袋の中身を覗いた。
「え?何?酒?」
「付き合って一年、おめでとう。細やかですが、綾人の親友の俺からプレゼント。城崎と二人なら飲むんだろ?」
「マジ?ありがとう!」
「ありがとうございます。」
涼真はシャンパンと、お揃いのシャンパングラスをプレゼントしてくれた。
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