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第624話

「まさか人から祝ってもらえるとはね。」 「俺もびっくりした。」 仕事を終えて家に帰り、涼真からもらったプレゼントを開ける。 この歳になると、ただのカップルでも1年祝いなんて人から祝ってもらえることないし、男同士で付き合ってるから尚更祝ってもらえるとは思ってもみなかった。 そういえば、俺が千紗と付き合っている時も、記念日とか同棲祝いとかまめにくれてたっけ。 涼真の気遣いに感謝だ。 「うわ…。高そう…。」 「ロゼのヴィンテージか…。まぁでもせっかくくださったんですし、値段とか気にしたら味に差し障りますよ。」 「そ、そうだよな!気にしない、気にしない…。」 ヴィンテージとか言われたら、余計気になるじゃん。 城崎は飲み慣れてんのか知らないけどさ。 「さすが柳津さん。先輩の好み分かってますね。」 「これ、俺好きなの?」 「好きだと思いますよ。飲みますか?」 城崎はシャンパンの度数や品種を見ながら、俺に問いかけた。 酔っちゃうかもしれないけど、でも明日からまた連休だし…。 「明日休みだし、飲もうかな…。」 「デートのこと、忘れてないですよね?」 「忘れてないってば!でも、朝寝坊しても大丈夫だからいいかなぁって…。ダメ?」 「いいですよ。じゃあ開けますね。」 城崎はシャンパングラスを箱から出して、キッチンに向かった。 お揃いのグラス…。嬉しいな。 「フルートグラスも一緒に買ってくださるとか、気が利きますよね。」 「な。涼真こんなオシャレだったっけ?」 「誰かにアドバイスもらったとか?」 「……あ。そうだそうだ。彼女できたって言ってた。」 「へぇ!朗報ですね、それは。」 城崎の声がワントーン上がる。 え?いやいや、まさかな? 「城崎、もしかしてまだ涼真のこと警戒してたのか…?」 「そりゃあ、危険因子が減るに越したことはないでしょ。」 「マジか。」 どんだけ信用されてないんだよ、涼真…。 まぁでもこれで、城崎も少しは警戒解いてくれるかな? 「お待たせしました。どうぞ。」 「え!!いつの間に?」 「ロゼっていうのは柳津さんに聞いてたので、帰りスーパー寄った時に合わせられるようなもの買っておいたんです。」 透き通ったピンク色のシャンパン。 一緒に生ハムとかも持ってきてくれた。 「いただきます。……ん!美味しい!」 「ね?先輩好きな味だったでしょ?」 「城崎がドヤるところじゃねーだろ。」 甘口で飲みやすくて、おつまみもすげー合うし、どんどん飲み進めてしまう。 ペースが早いからか、酔いが回るのも早くて、城崎の肩にこてん…と顔を乗せた。

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