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第633話

「かわいい〜〜〜!!!」 ペンギンの散歩。 やっぱり可愛い!!臭いけど。 「城崎!カメラ!!スマホでカメラ回してっ!」 「はいはい。」 「めちゃくちゃ可愛い…っ!て、おい!何俺にカメラ向けてんだよ!?」 「だって先輩、可愛すぎるんだもん。」 城崎にカメラ係を任せて、俺は肉眼でペンギンを楽しもうと思ったのに、こいつ俺撮ってるだろ、確実に。 なんか去年もこんなだった気が……。 「ペンギン映して!!」 「先輩の引き立て役程度には映ってますよ。」 「嫌!!メイン!!」 「ちなみに今わがまま言ってる先輩、全部録画されてます。」 「?!!」 恥ずかしくて顔が熱くなって、思わず下を向く。 そしたら城崎は、俺を片手で抱き寄せて、カメラはペンギンの方へ向けた。 「な…に……?」 「さっきからずっと、先輩の可愛い顔、他の誰にも見せたくないって言ってるじゃん。」 城崎の言葉に余計顔が熱くなる。 照れ顔を見られないように、隠してくれているらしい。 その代わりにペンギン撮ってくれてるからいいか。 「あ。先輩、触れ合いタイム始まるみたいですよ。」 「!!」 「去年はコウテイペンギンの赤ちゃんでしたよね。」 「あの水色の腕輪付けてるちっちゃいのがいい!」 城崎はスタッフに声をかけて、俺をペンギンのそばに連れて行く。 あぁ、可愛い…。 「この子はなんて種類なんですか?」 「この子はコガタペンギンちゃんですよ。入手が困難で、日本の水族館ではあまり会えない子なんです。」 「へぇ〜!可愛い〜!」 「目つき悪くないですか?」 「それも可愛いだろ!」 立ち姿勢が全然直立じゃない上に、目つき悪くてヤンキーみたい。 なのにフェアリーペンギンという別称があるらしい。 城崎は可愛さがわからないのか、不思議そうな顔をしている。 「まぁいいや。写真撮っていただけますか?」 「もちろんです。どうぞ、並んでください。」 スタッフが男性だったからか、スムーズに写真を撮ることに成功した。 そういえば今回、女性に声かけられること少ないな。 「城崎、魅力下がった?」 「は?なんですか急に。」 「ナンパ、少ないなって。」 「そりゃデートしてるって分かるくらい、俺たちがイチャイチャしてるからでしょ。」 「…………」 なるほど。 俺たち、ちゃんと恋人として見られてるってこと…? 「ちょ、先輩!その顔ダメってば!」 「…///」 顔が沸騰するくらい熱くなって、また城崎に隠されるように抱きしめられた。

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