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第639話
ブイハを見る前に一緒にお風呂に浸かる。
城崎にもたれかかると、後ろから抱きしめてくれた。
「先輩、今日どうでした?」
「すげー楽しかったよ。城崎の宣言通り、去年よりもずっと。」
同じ場所に行っているはずなのに、何もかも去年とは違った。
俺たちの関係性の深さ、気持ち、仕草全てが。
「今年はね、周りの目を気にしないで、デートらしくデートするって決めてたんです。それが先輩を去年よりも楽しませる方法♡」
「へぇ?」
「俺もすごく楽しかったです。優越感もすごいし。」
「ふっ…(笑)なんで?」
「周りに先輩は俺のだって見せつけられたから。ちゃんと恋人だって公言できたし。」
「あぁ、あれな。びっくりした。」
ナンパしてきた女の子たちに突然デート中だってカミングアウトするんだもんな。
ヒヤヒヤしたけど、でもちょっと嬉しかったりして。
「目の前でキスした方がよかったかな?」
「それは刺激強いだろ。」
「最近の女性は腐女子ってのが多いんですよ。伊藤さんみたいなね。」
「あー、なんか言ってたな。」
「腐男子ってのも増えてきてるらしいですよ。」
「ほー。」
未だによく分からないけど、でもまぁ俺たちみたいな同性愛を容認してくれるなら、それはそれで助かるのかも?
萌えの対象として見られるのはちょっとアレだけど…。
「先輩、そろそろ剃りましょうか。」
「え?」
「下の毛。結構伸びてきちゃいましたね。」
「うおっ?!いきなり触んな…っ!」
「色気ない驚き方ですね〜。」
突然話題変えられて、敏感なところを触られてビビる。
いきなり色気出せとか言われても無理だし。
ていうか…。
「なぁ、いつまで触ってんだよ?」
「ん〜…。先輩、今回はブラジリアンワックス使いませんか?」
「は?何それ?」
「いつも剃刀 でやってるでしょ?それだと先輩の肌傷つけそうで怖いときあって。まぁワックスも一気に処理するんで、結構痛いですけど。」
「へぇ…。」
「一回やってみませんか?剃刀の方が良さそうなら、今度からまた剃刀にするので。」
「わかった。」
なんかよく分からないけど、城崎に全部任せる。
脱毛とかそういうの、詳しくないし。
浴室から上がって、水気を取って、デリケートゾーンにワックスを塗られる。
「うっ……」
「染みる?」
「大丈夫…。」
ワックスを塗り終わった後、シートのようなものを貼られる。
不思議に思ってると、城崎が真剣な顔で俺をみた。
「先輩、いきますよ。痛いですよ!」
「え?えっ?!」
「えいっ!!」
「痛ぁあっ!!!」
ピリピリどころではない強い痛み。
一気に毛を抜かれたみたいな。
半泣きでまだ頭が追いついていない俺を放置して、城崎はどんどん俺の下の毛を抜いていった。
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