639 / 1069

第639話

ブイハを見る前に一緒にお風呂に浸かる。 城崎にもたれかかると、後ろから抱きしめてくれた。 「先輩、今日どうでした?」 「すげー楽しかったよ。城崎の宣言通り、去年よりもずっと。」 同じ場所に行っているはずなのに、何もかも去年とは違った。 俺たちの関係性の深さ、気持ち、仕草全てが。 「今年はね、周りの目を気にしないで、デートらしくデートするって決めてたんです。それが先輩を去年よりも楽しませる方法♡」 「へぇ?」 「俺もすごく楽しかったです。優越感もすごいし。」 「ふっ…(笑)なんで?」 「周りに先輩は俺のだって見せつけられたから。ちゃんと恋人だって公言できたし。」 「あぁ、あれな。びっくりした。」 ナンパしてきた女の子たちに突然デート中だってカミングアウトするんだもんな。 ヒヤヒヤしたけど、でもちょっと嬉しかったりして。 「目の前でキスした方がよかったかな?」 「それは刺激強いだろ。」 「最近の女性は腐女子ってのが多いんですよ。伊藤さんみたいなね。」 「あー、なんか言ってたな。」 「腐男子ってのも増えてきてるらしいですよ。」 「ほー。」 未だによく分からないけど、でもまぁ俺たちみたいな同性愛を容認してくれるなら、それはそれで助かるのかも? 萌えの対象として見られるのはちょっとアレだけど…。 「先輩、そろそろ剃りましょうか。」 「え?」 「下の毛。結構伸びてきちゃいましたね。」 「うおっ?!いきなり触んな…っ!」 「色気ない驚き方ですね〜。」 突然話題変えられて、敏感なところを触られてビビる。 いきなり色気出せとか言われても無理だし。 ていうか…。 「なぁ、いつまで触ってんだよ?」 「ん〜…。先輩、今回はブラジリアンワックス使いませんか?」 「は?何それ?」 「いつも剃刀(かみそり)でやってるでしょ?それだと先輩の肌傷つけそうで怖いときあって。まぁワックスも一気に処理するんで、結構痛いですけど。」 「へぇ…。」 「一回やってみませんか?剃刀の方が良さそうなら、今度からまた剃刀にするので。」 「わかった。」 なんかよく分からないけど、城崎に全部任せる。 脱毛とかそういうの、詳しくないし。 浴室から上がって、水気を取って、デリケートゾーンにワックスを塗られる。 「うっ……」 「染みる?」 「大丈夫…。」 ワックスを塗り終わった後、シートのようなものを貼られる。 不思議に思ってると、城崎が真剣な顔で俺をみた。 「先輩、いきますよ。痛いですよ!」 「え?えっ?!」 「えいっ!!」 「痛ぁあっ!!!」 ピリピリどころではない強い痛み。 一気に毛を抜かれたみたいな。 半泣きでまだ頭が追いついていない俺を放置して、城崎はどんどん俺の下の毛を抜いていった。

ともだちにシェアしよう!