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第660話
「望月おは……、えっ?!」
「望月さん、どうしたんすか?!」
「あぁ、えっと…。ちょっとアレルギーで…。」
「望月くんっ?!病院紹介しようか?!アレルギーでそんなになるの?!」
次の日はさぞ心配された。
今までにないくらい目の周りがパンパンで、出勤するか真剣に悩んだ。
苦悩の末、出勤したはいいものの、やっぱりそうなるよな…。
周りの目を気にして、顔を隠すようにデスクに着いて下を向いていると、手元にマグカップが置かれた。
「カモミールティーです。リラックスできますよ。」
「眠らせる気かよ?」
カップを置いたのは蛇目だった。
こいつにも昨日迷惑かけたな…。
「昨日は悪かった。」
「いいえ。それより主任、午後休取ってはいかがですか?」
「いいよ…。仕事してる方が忘れられるし。」
「……まぁ、そうですね。幸い、彼もお休みですし。」
城崎は今日も休み。
よろしくやっておいて、まだ風邪治ってないのか。
でも、来ていないことにホッとした。
今、顔を合わせる勇気は俺にはないから。
「ホテル、連泊できそうですか?」
「あぁ。でも毎日ホテルってのもコスト的にキツいし、明日からはネカフェかな…。」
「主任…、悪いこと言わないので、うちに来ませんか?」
「行かない。」
「下心ないですよ。」
「俺の問題だから。ありがとう、気持ちだけもらっとく。」
蛇目の誘いに丁重に断りを入れた。
しばらくして涼真が出勤してくる。
「おっは…?!!?!」
「ぷっ…、なんだよ、その顔?」
「いや、こっちのセリフ…。」
涼真はおはようと言いかけて、俺の顔を見て絶句した。
そりゃ、蜂に襲われたみたいな顔してるもんな、俺。
「何?どうした?」
「また話聞いて。」
「いや、今聞く!今すぐ聞く!!」
「あ、始業時間。」
「おい、綾人!」
俺は涼真から逃げるように作業に取り掛かった。
頭を空っぽにして、仕事に没頭した。
そしたらかなり気持ちが楽だった。
「綾人!こっち来い!!」
「あー、うん…。」
昼休みに入ってすぐ、俺は涼真に呼び出され、食堂に向かう。
説明したら、また泣きそうだ。
「涼真、やっぱ外出ない?」
「いいよ。綾人が話しやすいとこで。」
「じゃあ終業時刻まで待ってほしいんですけど。」
「わかった。とりあえず一緒に飯食お?」
「うん。」
涼真は昼休みは、俺の目の腫れについて何も聞いてこなかった。
世間話とか、本当どうでもいい話。
城崎とは関係ない話題を振ってくれた。
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