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第684話
「ただいま……」
「おかえり〜……って、は?!!どうしたんだよ?!」
涼真は俺を出迎えるなり、急いでバスタオルを持ってきて俺を包んだ。
寒い…。
「とにかく風呂入れ!また風邪引く!!」
「うん…。」
デジャヴ。
あの日もこうやって、まずは俺の体優先してくれたよな…。
シャワーを浴びて、リビングに戻る。
涼真は温かいココアを入れて俺の前に置いた。
「やけに帰り早いと思ったら、何?どうした?」
「………距離、置いた。」
「はぁ?!仲直りしに帰ったんじゃねぇのかよ?!」
「………もう、無理かもしれない。」
「ちょ、泣くなって……。」
ぼろぼろと涙が溢れて止まらなくなった。
自分が馬鹿すぎて情けない。
城崎のこと傷つけて、自分だけ楽になろうとして、なのに結局自分も傷ついて…。
今日のことを涼真に話した。
涼真は真剣に聞いてくれて、難しい顔をした。
「幻覚に幻聴って、ヤバいんじゃねーの?」
「……変…だよな……。」
「一旦心療内科とか診てもらったら?綾人が病気とか、そう言いたいんじゃなくて、一度話聞いてもらった方がいいと思う。」
「……うん。」
「で、体の調子整ったら、改めて城崎と話をしよう?」
涼真は病気というと傷つけてしまうからと、きっとそう思って否定したけど、今は病気と言われた方が受け入れられるかもしれない。
病気じゃないのに、大好きな人が怖いなんて、その方が俺は辛い。
しかも涼真の提案は、俺の心の病が治るまで、城崎が待ってくれていればの話だよな…。
そんな虫のいい話、あるわけない。
城崎だって言ってた、苦しいって。
同じ思いさせてるのに、ずっと待たせてるなんて、そんな自分勝手なことできない。
「………もう、聞いてくれないかもしれない。」
「そんなことねーって。」
「城崎も、次の人探した方がいい。俺なんか待ってても時間の無駄だし…。」
「無駄じゃねーって。あんなに好きだった奴のこと、そんなすぐ手放せるかよ。」
「でも……」
「クヨクヨすんな!綾人はさっさと自分のこと解決する!そうしないと始まんねーだろ!」
涼真に尻を叩かれ、喝を入れられる。
そうだよな…。うん…。
ちゃんと向き合わないと…。
「何回も失敗ばっかりでごめんな…。」
「いいんだよ。……あ、でも諦めたら許さねーかんな?綾人が城崎のこと嫌いになったーとかならいいけど、好きなのに諦めるとか、俺絶対許さないから!」
「うん…。」
「万が一、城崎が誰か他の奴好きになっても、俺は全力で綾人の応援する!邪魔者上等!」
「うん、ありがとう。本当にありがとう…。」
涼真をぎゅっと抱きしめると、涼真はへへっと照れ笑いした。
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