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第685話

次の日、少し体調が悪くて、俺は布団で寝込んでいた。 また雨に打たれたのもあるかもしれないけど、体だけじゃなくて心も疲れていた。 涼真は心配してくれたけど、俺の看病をさせるのは申し訳なくて断ると、久々に彼女とデートに行くと申し訳なさそうに家を出ていった。 涼真が申し訳なさそうにする必要は全くないけど、それがなんだか涼真らしいというか…。 一人でいると、何もすることがなくて、頭の中が城崎でいっぱいになる。 スマホの写真フォルダを開くと、城崎との写真がいっぱい出てきて、思わず目尻に涙が溜まる。 「うぅ…っ、ヒック……」 自分勝手なのは分かってる。 俺の都合で遠ざけて、城崎のこと傷つけて。 自分がどうしたいのかわからない。 近くにいても苦しくて、距離を置いても苦しい。 お互い苦しむなら、やっぱり城崎を自由にしてやるべきなんだろうか? 俺のことは忘れて、新しい相手と幸せに…。 悲しいけど、城崎まで俺の都合で辛い思いさせるのは嫌だから。 「俺の大馬鹿野郎…」 本当に馬鹿だ。 城崎の傷ついた顔が何度も脳裏に蘇る。 傷つけたかったわけじゃない。 本当はあいつの言う通り、家に帰ろうと思ってただけだ。 距離を置きたいなんて言うつもり、さらさらなかった。 抱きしめて欲しかった。 キスして欲しかった。 愛されている確証が欲しかったのに。 また俺が拒んでしまった。 心療内科受けてみようかな…。 そうしたら、少しはこの症状もおさまるかもしれない。 治らないって言われたらどうしよう。 治るのに時間がかかる場合は? 城崎が待ってくれる保証はないから、早く治したい。 早く治して、全てを許して、城崎と向き合いたいんだ。 心療内科を再来週の土曜日に予約する。 来週はもう一度実家に帰ろうと思ってるから。 一日でカタがつくとは思っていないけど、色々やることが多いな…。 「はぁ……。」 城崎とキスしたい…。 こんなこと思えるのに、いざ城崎を前にすると体が震えるんだもんな…。 唇って、二の腕の柔らかさと似てるんだっけ…? 試しに自分の二の腕に唇を当ててみる。 「うーん…?」 ふに…って柔らかいだけで、全然違う。 城崎とのキスって、激しいのが多いからかな…。 舌で口内掻き回されて、訳わかんなくなる感じ。 そのあと指を口に突っ込んでみたり、はんぺんを買ってきてキスしてみたりと色々試してみたが、どれもしっくりこなくて、ただただ虚しい気持ちに襲われた。

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