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第698話

水曜日から三日間、城崎は出張に行った。 城崎とちゅんちゅんがいない営業部は結構静かで、蛙石以外はみんな落ち着いて仕事をしていた。 「綾人〜。」 「あ、涼真。どうした?」 「どうしたもこうしたも。なんか俺に言うべきこと、ないわけ?」 「え?」 「え?じゃねーよ!最近すげー表情明るいし、城崎と話すようになったじゃん!あんなに心配してた俺に、報告一つねぇのかよ?!」 「あ……、悪い……。」 自分のことでいっぱいいっぱいで、涼真に報告するのを忘れていた。 たしかに、あんなに心配して気を遣ってくれていた親友に、報告一つないのは俺が悪かった…。 「夜、飲みにいかね?」 「あー、えっと…、ちょっと待って…。」 「何?用事とかあんの?」 涼真とゆっくり話したい。 城崎との関係が劇的に回復したわけではないけど、でもこの数日間で俺的にはかなり前向きに考えられるようになったし…。 でも、夜は……。 「……城崎から電話来るかもだから。時間、聞いてみる。」 「は?!マジでどういう状況?!戻ったのか?」 「も、戻ったわけじゃないんだけど…。それも話す。」 「いや、今日はさすがに俺優先して。」 「うん。時間だけ調整してくる。」 俺は城崎にメッセージを送る。 夜に涼真と飲みに行くから、電話できないかもしれないと。 そしたらすぐに、『いつでもいいから声が聞きたいです。1分でもいいから、電話したい。』と連絡がきた。 前までなら『は?柳津さんを優先するんですか?』とか怒ってそうだったけど、さすがに遠慮したっぽい。 「涼真、行けるよ。」 「マジ?あいつのことだから『は?柳津さんを優先するんですか?』とか言ってきそうなのにな。」 「ぶふっ…(笑)俺も同じこと思った。」 「だよな〜?まぁ、さすがに今回の件は俺に感謝してるんじゃね?俺結構おまえらの間取り持ったよ?」 「本当に感謝してるって。今日は俺の奢り。」 「やった〜!!」 涼真は両手をあげて喜んでいた。 本当に世話になったもんな。 感謝してもしきれない。 つっても、まだ全部が解決したわけじゃないけど…。 「焼き鳥でいい?」 「お!いいねぇ。」 「焼き鳥だけじゃなくて酒も美味いし、個室だから話しやすいんだよ。」 「へぇ、いいじゃん。」 「ちょっと会社から離れてるけどいい?」 「いいよ。あー楽しみ!」 スマホで店を予約する。 この店は、一年前、城崎が探してくれた店。 城崎と付き合う前、二人で飲んだ店だ。

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