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第702話
次の日朝起きて焦り過ぎてベッドから落ちた。
非常にマズイ。
前日シャワーに入ってもいない上に、出勤時間まであと15分。
しかも少し寒気がする。
城崎からは『風邪引いてないですか?』のメッセージ入り。
いや、なんでそんな予言できんの?怖。
「ふっ……ぁ、くしゅんっ!!」
最近マジで風邪引きすぎだろ…。
生活習慣崩れてるから、免疫力も弱ってんのかな?
今回は完全に半裸で寝てたのが原因な気はするけど。
「うっ…、寒い……。」
部長に寝坊したから時間休を取りたいと連絡する。
「すみません…。」
『いや、望月は年休消化あまりしてなかったから全然いいよ。この前やっと消化して安心したくらいだ。』
「1時間後には出勤できると思います。」
『それより鼻声だけど大丈夫か?来週出張も控えてるし、大事を取って今日は休んでもいいぞ。』
「あー…、いや、大丈夫です。行きます。」
年休を勧められたけど、今一人でいるとネガティブなことを考えてしまいそうだから断った。
仕事してる方が何も考えなくて済む。
『気をつけてこいよ。遅れたらその分、時間休つけてやるから。』
「すみません…。」
平謝りして電話を切った。
はぁ…。朝から失敗するとテンション下がる…。
城崎は今頃何してるだろうか。
朝飯食って、取引先に向かっている頃だろうか。
シャワーを浴びながら、昨日の電話を思い出す。
城崎、うまくやってるみたいでよかった。
それに、今回はちゅんちゅんの初出張だ。
完全に失念してた。
ペア、城崎でよかったのかな。
まぁ、あいつは年数若くても見本にできるからいいか…。
ちゅんちゅんといえば、昨日寝る間際に電話越しに声が聞こえたような…。
同じ部屋に泊まってんのかな…。
いや、ちゅんちゅんと浮気はありえないけど、なんかちょっとモヤっとする。
あぁ、これが城崎が俺と涼真が一緒に泊まったりするのを嫌がる理由か…となんとなく理解した。
独占欲って怖い。
今の俺が城崎に対して、独占欲を持っていいかどうかは分からないけど…。
シャワーから出て、タオルで髪を乾かしながらベッドに腰掛ける。
俺も来週には出張か…。
なんでこんなにすれ違うんだろう。
でも城崎と向き合う覚悟を決めるには、ちょうどいい期間なのかもしれないな。
俺は家に戻れるんだろうか。
また家見て発作起こしたらどうしよう…。
いろいろ考え込んでいたら9時を過ぎていて、俺は急いでスーツを着てホテルを出た。
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