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第738話
風呂に入って髪を乾かし、自分の部屋に行く。
あのベッドは気持ち的にまだ無理…。
だからこのあと、城崎が俺の部屋に来るんだけど…。
「緊張する……。」
ふぅ…と深呼吸していると、ドアがノックされた。
「先輩、いいですか?」
「う、うん…。」
返事すると、ドアが開いて城崎が枕を持って部屋に入ってきた。
ドキドキ…。
自分でも分かるくらい、心臓がバクバクしてる。
マットレスの上で正座する俺の前に城崎は座った。
「先輩、すげー緊張してません?」
「し…てる……」
「初めての時みたい…。可愛い。」
「…っ///」
前髪をよけられるときに額に触れる指先ですら、身体が過剰に反応する。
これ…っ、無理……!
「先輩、今更無理とか聞きませんからね。」
「っ!!」
読まれてる…!!
びっくりした顔で城崎を見ると、そんな俺の顔を見てくすくす笑っていた。
「抱きしめて寝てもいいんですか?それとも、隣で添い寝するだけ?」
「だ…きしめても…いい…。」
「やった♪先輩、大好き♡」
「〜〜っ///」
早速抱きしめられて、マットレスに寝転ぶ。
あ、ヤバいかも。ヤバい。
寝れる気がしない…。
「先輩…、好き。大好き。」
「ぅ……」
「今日は幸せすぎて眠れないかも。」
そんなの俺もだ…。
スン…と息を吸うと、城崎の匂いでいっぱいになる。
安心する。幸せだ。
「今日は幸せすぎて、いまだに夢かと疑ってます…。先輩、幸せいっぱいくれてありがとう。」
「俺…も……。」
「へへ…(笑)先輩もギュッてして?」
そう言われて城崎の背に回した腕にギュッと力を込めると、城崎は気の抜けた顔でふにゃりと笑う。
ああ、もう…。
幸せすぎて、俺この後地獄に落とされたりしないかな…。
「先輩、平気?」
「大丈夫…かも…。」
「じゃあ遠慮なく抱きしめられますね♡」
緩む口元がバレないように、城崎の胸に顔を埋める。
目を閉じたら、安心しているおかげか自分でも知らぬうちに眠りについていた。
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