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第739話
目を覚ますと、目の前に城崎がいた。
「っ…!!」
そうだ。
昨日一緒に寝たんだった。
城崎の寝顔可愛い…。
顔が彫刻。天才。顔面国宝…。
「ん……、先輩……?」
「わぁっ?!」
城崎は寝惚けたまま抱き寄せてきて、「ん〜…」と言いながら俺の首筋に顔を埋める。
髪の毛擽ったい…。
城崎の唇が首筋に触れて、心臓バクバクする。
「城崎…、城崎ってば…!」
「ん……?え、あ?……あっ?!」
「寝惚けすぎ…。」
城崎は目を覚まして、びっくりしていた。
無意識でドキドキさせないでほしい。
心臓に悪い…。
「先輩、おはようございます。愛してます。」
「は、はぁっ?!」
「痛い痛い!ごめんなさい!言いたくなって!」
いきなりどストレートに愛の告白をされ、恥ずかしくて何度も叩くと、城崎は俺の手を止めながら謝った。
嬉しいけど恥ずかし過ぎる。
「先輩、一緒に寝てくれてありがとうございました。」
「……ぅん。」
「今日も一緒に寝ていいですか?」
「……気が向いたら。」
正直めちゃくちゃ眠れた。
城崎の体温と匂いと愛に包まれて、安心したのかぐっすり眠れた。
恥ずかしくて素っ気ない返事をしてしまったけど、俺だって一緒に寝たい…かも…。
「先輩、今日は何しますか?」
今日……。
あ。今日は無理だ。
「ごめん。今日実家行くんだ。」
「え?」
「言ってなかった。ごめん。夜には帰ってくるから。」
思い出して伝えると、城崎は残念そうな顔で「そっか…。」と呟いた。
実家に帰るのは三週間ぶり。
逃げるように家を飛び出してから、今日が初めて。
でもあの日に自棄酒して城崎に助けてもらったのをキッカケに、誤解解けたり、こうしてまた同棲できてるんだもんな…。
「もし凹んで帰ってきたら、癒してくれる…?」
「っ!!もちろんです!」
前回の様子を見るに、今日も説得できる気はしない。
話すらできるかどうか…。
着替えて準備をして、玄関で靴を履く。
「先輩…」
「ん…?」
「元気出して。」
優しく抱きしめられて、なんだか胸がほっと落ち着く。
好きな人とハグするのって、本当効果あるんだな…。
「ありがと。」
「駅まで送ります。」
一緒に家を出て、駅の改札で別れる。
「帰りは連絡してくださいね。」
「わかった。いつもありがとう。」
「先輩と少しでも一緒にいたいから。むしろ頼ってもらえて嬉しいです。」
城崎に見送られ、俺はまた実家に向かった。
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