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第745話
悪夢にうなされ、5時に目が覚める。
ぐっしょりと汗をかき、目からは涙が溢れていた。
城崎が知らない誰かとセックスしてる夢。
夢だって分かってる…。
だけど不安になってリビングを覗くと、城崎はソファで眠っていた。
城崎がいたことに安心して、ふぅ…と息を吐く。
朝の分、少し早飲みしよう…。
抗不安薬を1錠飲んで、気持ちを落ち着けるためにゆっくりと深呼吸する。
髪も汗でじっとりとして気持ち悪くて、汗を流すために浴室へ向かった。
シャワーで汗を流していると、コンコン…と浴室の扉をノックされる。
「先輩、もう起きたの?大丈夫…?」
「………城崎?」
扉を少し開いて顔だけ見せると、城崎と目が合った。
城崎は俺を見て、カァッと頬を赤く染める。
「先輩…っ、目の毒だから閉めてっ!」
「ご、ごめん…。」
勢いよくそう言われ、悲しくなって扉を閉める。
すると、城崎は扉に近づいて、俺に聞こえるように言葉にする。
「いや…っ、むしろご褒美なんですけど…、俺何しちゃうか分かんないから…。」
「俺のこと嫌いになったわけじゃない……?」
「そんなわけないでしょ!?」
不安を声にしたら、全力で否定された。
城崎が扉に手をつく。
磨りガラス越しに手を合わせると、城崎は大きく息を吐いた。
「……先輩の裸なんて見たら、どうしても触りたくなるから。」
「…っ!」
シャワーの音でかき消されるほど小さな声だったのに、俺の耳には鮮明に届いた。
嬉しい。
「わぁっ!えっ?え??」
俺は扉を開けて、体も拭かずに城崎に飛びついた。
浴室からシャワーの音が響く。
でもそれ以上に、俺と城崎の心臓の音が大きく感じた。
「せ…、先輩……っ!離して……?」
「………っ」
拒否されたのかと思ったけど、城崎のズボンがテントを張っていた。
あぁ、俺なんかでもまだ欲情してくれるんだ…。
俺の身体はめちゃくちゃ震えてるのに、城崎が俺に欲情していることが嬉しくて、抱きしめる力を強める。
「先輩…っ!!」
「…っ」
肩を押し返されて、強制的に城崎から距離を取らされる。
城崎はフーフーと荒い息をしていて、股間はパッと見てわかるくらいに張り詰めているのに、城崎は俺に手を出そうとはしなかった。
「ダメだから…っ。先輩がそんなになってるのに…っ、これ以上煽んないでください…っ!」
俺は自分でも気づかないうちに、過呼吸になりかけていた。
バスタオルを掛けられ、城崎は深呼吸してから俺を抱きしめた。
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