749 / 1069
第749話
「先輩、土曜日は一緒に受診しましょう?」
「え……?」
城崎が真剣な声で俺に放った言葉にフリーズする。
受診…、土曜日……。
まさか……。
心療内科に通ってたこと、バレたのか…?
固まっていると、城崎は一旦俺を離して土下座した。
「先輩、丸一日眠ってて心配で、ごめんなさい。服とか色々探りました。心療内科、通ってたんですね。」
「……!!」
「勝手なことしてごめんなさい。でも俺も一緒に向き合いたいから、先生のお話も聞いてきました。もちろん先輩が先生に何を話したかまでは聞いてません。あくまで、俺がするべきことを聞いただけです。」
城崎はまた俺を抱きしめた。
一緒に向き合いたい…。
城崎が味方になってくれたら、どれほど心強いだろうか。
でも、ダメだ。
病気なんて、一緒に背負わせていいものじゃない。
「重いだろ…。」
「え?」
「城崎の重荷になりたくない。」
城崎と一緒に人生を歩みたいと思った。
でも、城崎の華々しい人生の足枷になりたくない。
俺みたいなデカい爆弾を持ってたら、城崎の人生にマイナスだろ…。
「舐めないでください。俺の愛の方が100倍は重いですよ?」
「愛じゃなくて…、病気とか…だるいだろ…。」
「重くないし、だるくない。」
「治らないかもしれないんだぞ…?」
そう。
治るかどうかわからない。
もし今回のこと全部解決しても、また突発的に発作を起こす可能性だってある。
精神的なことだから、俺の性格が変わらない限りは完治しないだろ…。
だから……。
「それって一生そばにいていいってことですか?♡」
「お、おまえなぁ!俺が真剣に…」
「俺だって真面目に言ってます。」
揶揄ってるのかと思って言い返すと、城崎は真剣な顔で俺を見た。
なんで……?
どうしてそんなに俺のこと、一途に愛してくれるの?
嬉しくて何も言葉が出なくて、涙を堪えるので精一杯だった。
「ちなみにね、実家に帰ってた理由も聞きました。」
「えっ…?!」
「俺とのこと、ご両親にお話してくれてたんですね。」
「なんで…。」
全部バレてるじゃん…。
俺が寝てた一日で、一体何が起こったって言うんだ。
「柳津さんに聞き出しました。もうこの際、全部教えてほしいって。」
城崎、どう思ったんだろう?
勝手に両親に城崎と付き合ってること話して…。
大事な話だし、それにこういうのは二人で行くべきだって思ってるかもしれない。
俺が先走ってると思われたらどうしよう…。
「先輩っ…?嫌だった?俺にバレたくなかった??」
「……バレたくなかったよ。」
「なんで?俺は嬉しかったんだけど…。」
「本当に…?だって勝手に親に話とか…」
「めちゃくちゃ嬉しいですから!!だって、親に言うってことは、これからも俺と一緒に居たいと思ってくれてるってことですよね?!」
「そ…ぅだけど…」
「嬉しいに決まってるじゃないですか。」
城崎は力強く俺を抱きしめた。
ともだちにシェアしよう!