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第750話

「先輩、俺は先輩のこと大好きです。愛してます。この言葉に嘘なんて一つもありません。だから信じてよ。」 「城崎……」 「そんな嬉しすぎることされて、俺が先輩のこと嫌いだとか重いとか思うわけないし、先輩が辛かったら一緒に支えたいし、もっと頼って。俺は先輩に頼られるの好きだから。」 伝えられなかった俺の重すぎる一連の出来事。 城崎は全て分かって尚、俺のことを好きだと言ってくれる。 城崎のことは信じてるけど、好きすぎるから、嫌われたくないからずっと我儘も言えなかった。 もう何もかも全て、言葉にした方がいいのだろうか。 城崎なら、全て受け止めてくれるんじゃないか。 おずおずと城崎の背に手を回す。 さらに抱き寄せられて、顔が城崎の胸板に埋まるみたいになった。 この感覚…、数日ぶりだ。 安心する……。 「他に何か言いたいことありますか?」 「お願いしてもいい…?」 「何?」 掠れるような小さな声だったから、城崎は聞き返した。 うっ…、恥ずかしいな…。 「城崎…、お願いしてもいい?」 「はい、もちろん。どんなお願いですか?」 「……一日一回、こうしてギュッて抱きしめてほしい…。」 抱きしめてもらえたら、どんなに不安でも頑張れると思う。 薬が減っても、何かあっても。 「先生が言ってたんだ…。ハグすると幸せホルモンが出るんだって。そしたら不安とかも和らいで、ストレスも解消して、いいことづくめなんだって…。」 先生の受け売りの知識を伝える。 「城崎……?」 「喜んで!!!!」 城崎が黙ってしまったから、ダメだったか…?と顔を上げると、勢いよく頬にキスされた。 「わっ…!」 「先輩、ハグしたいときは俺の小指握ってね?」 小指…? 意図がわからなくて首を傾げると、城崎は俺の手に自分の小指を握らせる。 「言葉にするのが苦手な先輩のための合図です。」 なるほど。 たしかに俺って、自分でも分かるくらい、恥ずかしがったりして言葉にできないことが多い。 握らされた小指をニギニギすると、城崎はギュッと俺を抱きしめた。 「可愛いっ!今日は抱きしめて眠っていいですか?」 「……いいよ。」 「〜〜〜っ!!!先輩、大好きっ!!!」 城崎に何度もハグされて、幸せホルモンが溢れ出す。 夕食は数日空っぽに近かった俺の胃がびっくりしないように、卵粥を作ってくれた。 「食べられそう?」 「うん。美味しい。」 「よかったぁ…。」 俺が笑うと城崎も笑ってくれて、幸せに満たされて夜も眠れた。

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