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第755話
「そうだ、先輩。今週末の予定は?」
城崎が話題を変えて振ってくる。
土日は7月2日と3日だよな…。
「あ…、えっとね、土曜日に病院行ってから、実家帰る。」
「納涼会は?」
城崎の言う通り、今年の納涼会は7月2日。
毎年出てるし、久米さん家のちびっ子たちにも会いたいけど…。
「今年は欠席する。城崎は楽しんできて?」
「えー。俺は先輩いないと行きませんよ。」
「なんでだよ?せっかくなんだから、俺以外ともちゃんと交流深めろって。」
「やだ。先輩が欠席するって分かってる行事に行くわけないでしょ。」
断固として行く気がなさそうだ。
おかしいな…。
2年前、俺が風邪気味で欠席した飲み会とか、城崎来てたって聞いたんだけど…。
「でも、一年目の頃は、俺が風邪で欠席した時とか出席してたんだろ?」
「なんで知ってるんですか…。というか、当たり前でしょ…。付き合うまでは先輩のプライベート事情とか分かんなかったし…。先輩がお休みの時、すげーショックだったんですからね?」
なるほど納得。
てか、どんだけ俺のこと好きなんだよ。
「じゃあ俺の分までみんなの手伝いしてきてよ。」
「無理。クリニック一緒に行くし。」
「終わってから向かえばいいじゃん。間に合うだろ?」
「む〜…。とにかくやだ。」
「だーめ。命令です。」
「やだーーー。」
城崎は駄々をこね始めた。
うーん…、困ったな…。
お節介かもしれないけど、城崎にはちゃんと俺以外とも良好な関係築いてほしいというか…。
古い考えかもしれないけど、こういうプライベートな交流って大事だと思うんだけどな…。
「ご褒美あげるから。」
「えっ!?」
「納涼会行ったら、一つだけわがまま聞いてあげる。」
「なんでも聞いてくれる??」
「……可能な範囲でな。」
「じゃあ行く!行きます!」
城崎はパァッと目を輝かせた。
単純だな…なんて思いつつ、何言われるんだろうって少し怖い。
変な服着せられたりして…。
「優しいわがままで頼む…。」
「え〜?どうしようかなー?」
「心の準備したいから今言って?」
「だめ〜。納涼会中にじっくり考えておきます♡」
「えぇ…?」
すっかりご機嫌になった城崎。
お願いの内容は気になるけど、いっぱいあるなら仕方ないな…。
「ちゃんと手伝いしてるかどうか、涼真に監視してもらうからな。」
「じゃあサボれないですね〜。」
「そうだよ。ちゃんと楽しんでくるんだぞ?」
「はーい。」
城崎は何度も俺の髪にキスをして、嬉しそうに鼻歌まで歌っていた。
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