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第760話

目を覚ますと、じっと俺を見つめる城崎と目が合った。 「っ?!」 「おはよー、先輩♡」 「お…はよ…?」 「ふはっ(笑)なんて顔してるんですか。昨日一緒に寝たでしょ?」 城崎はくすくす笑いながら、俺を抱きしめる。 このベッド……。 そっか。俺、眠れたんだ…。 「もう平気…だな。」 「あー。もう、そうして油断しちゃダメですよ?薬だって、いきなりやめたら依存性の反動が来るかもってネットに書いてたし!」 「気をつけるよ。心配かけたのは悪かった。」 「ほんっっとに心配したんですからね。もう二度とあんな怖い思いさせないでくださいっ!」 「いひゃい…」 城崎はプンスカしながら、俺の両頬を摘んだ。 でも、なんかもう大丈夫だと思うんだよ。 だってこんなに笑えてるし。 城崎といると安心する。 またこの気持ちが戻ってきたことが、何よりも嬉しかった。 「なぁ城崎、昨日の話聞かせてよ。」 「え〜?納涼会ですか?」 「うん。聞かせて?」 「仕方ないなぁ。」 城崎はなんだかんだ楽しそうに納涼会のことを話してくれた。 鈴香ちゃんが懐いてくれたこととか、またちゅんちゅんが遅刻したこととか。 「弥彦くん来れなかったんですよ。鈴香ちゃんも最初はギャン泣きで大変だったんですよ?」 「ギャン泣き?」 「泣いて手がつけられなかったんです。まぁ何が言いたいかって、二人とも先輩に会いたがってました。」 「ははは。嬉しいな。今年どこかで会いに行こっか?」 「俺の先輩が取られちゃう〜。やだ〜。」 「子ども相手に張り合うなって。」 俺を抱きしめながら泣き真似をする城崎を小突くと、城崎はチラッと上目遣いに俺を見つめてきた。 「な、何だよ…?」 「先輩、覚えてる?」 「……?」 「ご褒美。俺、力仕事も、鈴香ちゃんの相手も、結構仕事したと思うんだけどなぁ…。」 ご褒美……。 そういえばそんな約束してたな…。 両親に城崎とのこと認めてもらって浮かれてて、すっかり忘れていた。 「先輩は約束破ったりなんかしないですよね?」 「し、しないよ。聞く。何してほしいんだ?言っとくけど、無理なお願いは聞かないからな!」 「わかってる。優しいわがままなら聞いてくれるんでしょ?俺、色々考えたんですけど〜…。」 「な、何……?」 ニヤニヤする城崎。 何のお願いされるのか身構えていると、城崎は自身の太腿をツンツンと指差した。 「俺のココ、キスマーク付けてくれませんか?」 流し目でそう言われ、なんだか一気に顔が熱くなった。

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