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第766話
ベッドに横になると、城崎が俺の上に跨る。
この体勢…、恥ずかしい……。
「何なんだよ…?」
「俺、先輩にもっと触れたい…。」
「十分触ってんだろ…。」
「今日のキスの場所…、ここにしてもいい…?」
「ひっ…」
城崎の手が服の中に入ってきて、びっくりして変な声が出た。
城崎が触れたのは腰回り。
随分感じやすいところを選ばれた。
「ダメ……?」
「い…ぃ…けど…」
「けど…?」
「変な声…っ、出しても……、笑わないで…っ」
「うん。笑わない。」
城崎は嬉しそうに微笑んで、俺の服を捲った。
城崎の唇が腰に触れる。
ヤバい…。ゾクゾクする…。
「ん…ぁっ…」
「……可愛い。」
「ヒっ…ン……」
「先輩、逃げないで。」
「ひぁっ!!」
体を捩って逃げようとすると、両手で腰を掴まれる。
逃げないように固定されて、城崎の唇がどんどん上に上がってくる。
「あぁっ…」
背中に舌が這う感触に、身体がびくびくと波打った。
「先輩、好き。大好き。」
「城崎…っ、ぁあっ」
「感じてる先輩、すげー可愛い…。ねぇ、ここ…?」
「あっ、ゃ…だっ!城崎っ!」
城崎の手が、前の方に回ってきた。
そこには、もうすっかり陥没してしまった乳首があって、触れられた瞬間、色んなことがフラッシュバックする。
「やだってば…!」
思わず城崎を突き飛ばした。
「せ、先輩……」
「………あれ…?」
俺…、泣いてる……?
なんで…?
「先輩…、ごめんなさい…。俺…っ」
「ごめん。ちょっと待って…。」
「先輩っ…」
どうして俺は城崎のこと、突き飛ばしたりなんか…。
好きなのに。
触れてほしいのに…。
やっぱりまだ、俺の心は整理できないままでいるのか?
「好きだよ、城崎…。好きなんだ……。」
「先輩……」
「時間が欲しい…。満足させてあげられなくてごめん…。」
「ううん。いつまでも待つよ。謝らないで。俺が早まっただけ。嫌な思いさせてごめんね、先輩。」
城崎はそう言った。
嫌な思いなんてしてない。
何故か身体が拒否反応を起こしただけだ。
大丈夫、大丈夫…。
いきなりだから、びっくりしただけなんだ…。
自分自身にそう言い聞かせて、俺は薬を1錠飲んで目を閉じた。
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