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第778話

目を開けると、見知らぬ天井。 ふかふかのマットレスに、いつもより肌触りの良い掛け布団。 俺は服を着てなくて…。 ……………え? ガバッと上体を起こす。 は…?え……? 真っ白な部屋にダブルベッド。 服は乱雑に床に脱ぎ捨てられていて、俺の隣には……。 「蛇目……?」 眼鏡をかけていないが、高い鼻筋に長い睫毛、この甘いマスクは間違いなく蛇目だ。 布団を捲りたくない。 蛇目も裸だったら、これって……。 「……っ!」 尻の穴に違和感があった。 サッと血の気が引く。 まさか……。いや、そんなわけ……。 恐る恐るお尻に手を当てると、ドロッとした何かが溢れ出た。 手のひらには白濁が付いていて、それは間違いなく俺の尻から出てきたものだった。 「……ん、主任…?」 「…っ!」 「おはようございます…。早起きですね。」 蛇目が起きた。 俺を見て微笑む。 嫌だ…。違う……。 「主任、とっても可愛かったです。まさかハイジニーナとは思いませんでしたけど。」 「は…?」 「下の毛ですよ。ツルツルでびっくりしました。いつもお手洗いは個室入られてるので、まさかとは思ったんですけど。」 嘘…。 見られたのか? どんどん体温が下がっていくような気がした。 全身から変な汗が噴き出てくる。 「なぁ、待って…。頭が追いついてない…。」 「覚えてないんですか?私たち、あんなに求め合ったのに。」 「っ!!」 蛇目の言葉で確信してしまった。 俺は城崎以外の男に抱かれてしまったということを。 「あ、主任!」 散らばった服をかき集めて、表か裏かも確認しないまま身に纏って急いで家を飛び出した。 空にはまだ太陽が昇りきっていない。 朝だ…。 本当に蛇目と一夜を共にしてしまったんだ…。 スマホの画面に城崎からの着信が表示される。 しばらくすると着信が切れて、留守番電話の文字が表示される。 城崎だけじゃなくて、涼真からも。 何件も着信とメッセージが入っていた。 無理だ…。 もう、戻れない……。 スマホの電源を切って、鞄の奥底にしまう。 日曜の早朝。 誰もいないホームで電車を待ち、やっときた電車に乗り込んで座席に座る。 城崎に合わせる顔がない…。 絶望とも言える今の状況に、俺は何も考えられなくなって、終点に着くまでぼーっと一点を見つめていた。

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