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第786話
湯船の中で頭も体もしっかりと洗われる。
狭い浴槽の中で、足の上に乗せられて後ろから両手で抱きしめられる。
逃げ場なんて与えない。
そんな意志を感じる。
「先輩。」
「…っ!」
「もう一回教えて?先輩の今の気持ち。」
もう一回…。
今の俺の気持ち……。
「電話で言ってくれたでしょ?」
本当に伝えていいのか?
城崎は優しいから、また俺のこと甘やかすんだろ?
俺は城崎の優しさに甘えてばかりで、城崎のこと傷つけて、心配かけさせてばかりで…。
だけど…。
だけど、どうしようもなく俺は……。
「…………好き。城崎のことが、好き…。」
城崎のことが好きなんだ。
俺の身勝手な気持ちだって分かってる。
だけど、やっぱり城崎のことが好き。
城崎のことを目の前にして、この気持ちを抑えられるわけがなかった。
「うん…。俺も大好き。愛してるよ、先輩。」
唇が重なる。
いつぶりだろう?城崎とキスするの…。
嬉しい。
好き。
大好き。
「…城崎……、好き……。」
「うん…。」
「でも、ごめん…。俺、もう城崎に愛される権利ないんだ…。」
今のが最後のキスになるかもしれない。
ちゃんと言おう。
俺が犯した過ちを。
城崎がそれを受け入れてくれなくても、城崎は悪くない。
「どうして?」
「………俺…、」
言いたくない…。
でも、言わなきゃ…。
震える声を抑えて、自分でも認めたくない事実を口にした。
「………蛇目とセックスした…。」
「あぁ…。」
勇気を振り絞って放った言葉は、城崎に流されてしまった。
なんで怒らないの…?呆れないの…?
というか、なんでそんなに落ち着いてるんだ…?
「してないよ。先輩は蛇目さんとセックスなんて。」
え……?
「でも…っ」
俺だって、してないって信じたい。
でも、俺の尻から出てたアレって…。
蛇目の…その………。
「ちょっといい?嫌だったら嫌って言ってね。」
「……?」
城崎は俺を抱き寄せた。
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