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第787話
……っ!!
お尻の穴に何かが掠めた。
城崎の指だ…。
くるくると穴をなぞって、指先が中に入ってくる。
「ぁっ…、待っ…ぁ!」
「嫌だったら嫌って言って。」
「あっ、あっ…」
嫌じゃない。
嫌じゃないんだけど、声が我慢できなくて恥ずかしい。
逃げようとしても、城崎が逃してくれるはずもなく、俺は諦めて城崎の首筋に顔を埋めて快感を逃した。
しばらくして、指が抜ける。
俺は城崎に抱きついたまま脱力した。
「先輩、大丈夫。」
「……はっ…ぁ…」
「もしセックスしてたら、こんなに狭くないよ。」
城崎が優しい声でそう言い、頭を撫でる。
城崎にそう言われたら、本当に大丈夫な気がしてくる。
俺、蛇目とセックスしてないの…?
「ほ…んと……?」
「うん。それに、蛇目さんもしてないって言ってた。抱いたふりしただけだって。だから大丈夫ですよ。」
そう…なんだ……。
よかった…。
本当によかった……。
安心したら涙と鼻水がブワッと出てきた。
俺が罪悪感を感じる理由はないんだ…。
甘えてもいい…かな……?
ぴたりと城崎にくっつくと、城崎は俺の頭を撫でてくれる。
ずっとこうしてたいけど、なんか……。
「先輩…、そろそろ風呂あがろっか…?」
「………城崎…、俺……」
のぼせてきた…かも…。
「先輩…?」
「……暑い…。」
「えっ?!わっ、えっ?!」
ふわ〜っと意識が飛んでいきそうだった。
城崎の胸元に倒れ込むと、溺れないように支えてくれる。
「先輩、大丈夫?」
城崎は俺を抱き上げて風呂から上がり、タオルで髪と身体を乾かしてくれる。
季節外れなパーカーを着せられて、ベッドに横にされた。
夏だけど、寒いような暑いような。
城崎の匂いがして、袖をクンクン匂う。
「先輩、ちょっとごめんね。」
「ん…」
城崎がどこかへ行って帰ってきたと思えば、裾から手が入ってきて身体がビクッと揺れた。
冷たい…けど、気持ちいい…。
脇に何か挟まれて、体温を測っているのだとすぐに分かった。
「えっ?!40度?!!」
城崎は体温計を見てびっくりしていた。
俺、40度もあるんだ…。
そりゃ暑いな…。
このまま一緒に寝るのかと思ったのに、城崎は俺に布団をかけてどこかに行こうとした。
「行かないで……。」
寂しくて、城崎の腕を掴んだ。
このまま一緒にいてほしい。
お願いすると、城崎は布団に入ってきて、俺を抱きしめてくれた。
「大丈夫。ずっとそばにいます。」
「うん…。」
「だから安心して寝てください。」
「…うん……。」
城崎が隣にいることにひどく安心して、俺は久々に悪夢を見ずに眠りについた。
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