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第788話

暑い…。 頭がガンガンする…。 でも久々にぐっすり眠れてスッキリしたような…。 「……!」 「先輩、おはよう。」 「城崎…っ!」 びっくりした…。 何度経験しても、起きていきなり目の前に城崎の顔があるのは慣れない。 「し、仕事は??」 「休み。先輩も休みの連絡入れないとですね。」 そんな簡単に…。 でも今日は一緒にいてほしいかも…。 「俺は連絡大丈夫…。部長が今週は体調整えるために休めって言ってくれたから…。」 「あ、そうなんですか?それはよかった。」 城崎はスマホを置いて、俺の額に額をくっつける。 びっくりした…。 キスされるのかと思った。 「まだ少し熱ありそうですね。」 「あ…、うん…。頭痛い…。」 冷えピタを新しいものに貼り替えられる。 俺が寝てる間に買ってきてくれたのかな…? 気持ちよくて目を閉じると、頬を撫でられる。 「今日はゆっくりここで休む?それとも家で休む?移動のこと考えたら、ここの方がいいかな?」 「……家がいい。」 「じゃあ帰りますか。」 「うん。」 城崎の匂いに包まれたい。 目の前に本人がいるけど、家に帰ったらいっぱい城崎の匂いで包まれるから…。 城崎は帰り支度を始め、少ない荷物をまとめた後、俺を背中におぶった。 城崎の背中は温かくて、心地良くて、今すぐにでも眠ってしまいそうになる。 「先輩、後ろで寝る?」 「城崎の隣がいい…。」 「じゃあ助手席倒して寝る?寝づらいよ?」 「それでもいい…。」 城崎は苦笑して、俺を助手席に乗せる。 首から足下まで冷えないようにしてくれて、エアコンも俺に直接当たらないように風向きを調整してくれた。 でも夏の外に停めてた車の中だから、最初は暑い。 「城崎…暑い……。」 「えっ?!ごめんなさい!!」 「う〜……」 暑くて毛布を脱ぐ。 風邪って体温調節難しいな…。 「なんかしてほしいこととか、ほしいものとかありますか?」 「ん…、じゃあ…」 城崎の手をギュッと握る。 「信号とかで止まってる間は、俺の手握っててほしい…。」 「かわっ…、うぅ…。先輩の甘えた最高…。」 城崎は俺のお願い通り、赤信号の時は俺の手を握ってくれた。 高速道路が長かったから、握ってもらえる時間は少なかったけど。 でも運転しながらもすごく俺のことを気にしてくれてるのが分かって嬉しかった。

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